投稿日:2019年11月26日
[ようこそ美術館へ]明るさの後ろの悲しみ。
二人の40代の女性に声かけをしてみました。11月も後半の午後のこと。 BA(美術館):作品を見てどう感じましたか。 女性A:確かに絵は明るく描かれていますけど、その奥には暗い悲しみもまた感じます。 BA:へえ…、それは興味深いですね。 女性A:悲しさを明るさで表現している...
投稿日:2019年11月18日
私の『万象連鎖』。
11月16日から秋・冬の展示会『心のゆくえ』(万象連鎖シリーズⅢ)が始まりました。そこで開催にあたって、何人かのみなさんにシリーズ作品の感想を訊きます。(「万象連鎖シリーズ」とは“つなぎ絵”のスタイルでイメージのままに作品を作り続けていくというものです。ちなみに現在、226点に及んでいます) 今回は、ボクネ...
投稿日:2019年11月11日
見えないものを見る。
ボクネンが版画を彫る理由のひとつに、「世の中には見えるものより、見えないものの方がずっと多い」ということがあります。ですから「見えないもの」への創作の衝動に駆られ、彫る機会も増えます。「見えないもの」とは何か。これはどうにも理解できないままでいました。 それが一冊の民話を読んでいるときにピンときたのです。ヒ...
投稿日:2019年11月05日
首里城。
令和元年10月も末日の未明。目を疑うことが起こりました。沖縄の歴史と文化の象徴である「首里城」が火災にあったのです。この悲しい事件は沖縄県民ならず日本全国にも衝撃を与えました。新聞では世界の人々も悔やみを伝えています。 「起こりえないことが起こる」というのは、今の世の中もはや不思議ではないのかも知れません。「...
投稿日:2019年10月28日
子どもエイサー。
沖縄のエイサー(お盆の供養のための集団演舞)は、運動会や地域まつりなどにも踊られることがあります。“供養”から“元気づけ”にもなっているんですね。 先日、保育園の運動会に行きましたら、やはり3歳児からの“エイサー”をやってました。演舞の周囲にはお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばぁちゃんまで、三脚設置の...
投稿日:2019年10月21日
[ようこそ美術館へ]どうして版画があるんですか?
最近にわかに“版画”の課外授業で来館する小学生が増えています。作家の作品をじかに感じて欲しいというのが先生たちの目的のようです。 その日来館したのは、中城小学校38名の4年生たち。自分が好きな作品を館内から一点選んで感想を書くというのが授業の課題です。 とりあえずみんな感想文を仕上げると、スタッフへの...
投稿日:2019年10月18日
釣りが大好きなの。
美術館で仕事をしていると、子どもに絵の感想を訊くのは思わぬ発見や勉強につながります。その日も10歳の女の子に話しかけてみました。 「どう、好きな絵はあった?」 「この絵が好きです」(『水面裂く』2018) 「ああ、水の線がとても綺麗だもんね」 会話のあと、しばらくしてその女の子はわざわざや...
投稿日:2019年10月07日
[ようこそ美術館へ] Don't ask me!
「Don’t ask me!」 その日は、子どもたちの模写大会。一番最初に先生が注意したのは、この「Don’t ask me!」という英語でした。つまり、絵を描くときには「どうして描いたらいいの」とか「ここはどうするの」とかの質問は一切、聞かないでくださいということです。 絵は大人に教えられたり習っ...
投稿日:2019年09月30日
ワリミの空。
「ほら、枝や木の葉が空を被い始めたよ」 版画作家はおもいぶかげにそう言いました。 アカラ2階の美術館の下にある“ワリミ通り”(ワリミは沖縄では<割れ目>のことで、そこから漁師たちは海に出たり戻ってきたりする)から空を見上げているのです。思えば10年前、美術館を樹や木の葉で被われる森にしようと、言い出...