ワリミの空。

「ほら、枝や木の葉が空を被い始めたよ」

版画作家はおもいぶかげにそう言いました。

アカラ2階の美術館の下にある“ワリミ通り”(ワリミは沖縄では<割れ目>のことで、そこから漁師たちは海に出たり戻ってきたりする)から空を見上げているのです。思えば10年前、美術館を樹や木の葉で被われる森にしようと、言い出したのはこの版画作家でした。

ようやくワリミ通りから見える天空が緑色になり始めて、作家も感慨深かったのでしょう。

この“ワリミの空”がこうなるまでには、いろんなことがありました。台風、大雨、高温度などの温暖化による異常気象も見逃せません。そういう意味では、作家の“森の美術館”構想の道のりは簡単なものではありませんでした。とは言っても、まだまだこの構想は発展途上です。

 “自然”が人間にできること、“人間”が自然にできることは想像以上のものと思わざるを得ません。こんな世界や社会だからこそ、“森の美術館”構想を止めるわけにはいかないのですね。

先ほど版画作家がふと口にしたのは、そういうことも十分含めてのことなんです。

あなたも“ワリミの空”の下に立ってみませんか。(當山)