投稿日:2019年07月16日
風の線、光の色。

ボクネンは版画をやる前、イラストレーションを生業にしていました。その頃の作品を見てみると、やはり版画を生み出すことになった何かがかすかに感じらます。 たとえば、1985年に発刊された『てぃぬひらおきなわ昔ばなし』(うすく村出版)の「浜千鳥」(ハマチジュヤー、掲載作品参照)に描かれた挿絵は秀逸です。その軽やか...
投稿日:2019年07月08日
風のおもてなし。

「この建物の斬新なところは“風の通り道”をつくったことだろうな」 美術館のあるアカラが出来上がってから五、六年してからだとおもいます。ある一級建築士が感慨深げに話してくれました。 “風”を主役にした建物ということですね。最初、その建築士の言うことを聞いて、なんとなくわかるような気もしましたが、どうも胸...
投稿日:2019年07月01日
絵はタイムマシーン。

ボクネン作品に『椏檀風』(あだんかぜ、2000年、掲載作品参照)があります。とても風を感じる作品です。それも南からの清々しい風ですね。 最初この作品を見たとき、瞬間にひとりぼっちにされた少年の頃を思い出しました。家族はみんな潮干狩りに出かけ、留守番を任されてそこを離れることができません。もう何時間たったのだ...
投稿日:2019年06月28日
[ようこそ美術館へ]読谷村婦人会のみなさん。
![[ようこそ美術館へ]読谷村婦人会のみなさん。…](/wp-content/uploads/2019/06/IMG_2744-300x300.jpeg)
6月22日。読谷村婦人会のみなさん、15名が来館しました。 ボクネン美術館やボクネンのことは、ご存知の方ばっかり。それでも美術館へ来たのはみなさん初めてということでした。 絵を実際に見て、やはり興味は“裏手彩色木版画”のこと。「通常の木版画と彫りから墨ずりまでは一緒です。仕上がっ...
投稿日:2019年06月24日
[ようこそ美術館へ]絵のなかへ。
![[ようこそ美術館へ]絵のなかへ。…](/wp-content/uploads/2019/06/かがやき写真-600x398.jpg)
「海でね、“電気クラゲ”に刺されて、痛かったんです。とても痛かった」 ある鑑賞者が常設展示の『大礁円環』(1996年)の前でどこか痛がるような顔で話しています。そこで、尋ねてみました。 「そうですか。痛かったんですね。ところで、この『大礁円環』、畳12畳もあるんですよ。海のなかの魚がいっぱい描かれてい...
投稿日:2019年06月17日
失ったもの。

版画は不思議にいろんなことを気づかせてくれる画法です。すべて裏から、つまり反対から取り組んでいくんですね。つまり、頭を逆回転にしなければいけません。 版木では彫った線や面が白になり、彫らなかった線や面が黒になります。また絵の人物などに右を向かせたかったら、左向きに彫らなければなりません。さらに、裏手彩色とい...
投稿日:2019年06月10日
おんぶ。

ちょっと前のことです。「ママと赤ちゃん」ふうのテレビ番組で主婦アドバイザーらしき方が言うには「最近は“おんぶ”をするお母さんが見あたりません。“おんぶ”はママが少し首を横に動かせば、赤ちゃんの顔を見ながら家事をすることもできます。“おんぶ”は赤ちゃんとのコミュニケーションにもなりますよ」というも...
投稿日:2019年06月03日
夢中になれること。

少年は岩陰に隠れてもう何時間も砂浜のほうに目をやり、その目的の瞬間を待ち続けています。彼はクラスの誰よりも生き物が大好き。一度ふしぎとおもい合点がいかなければ、その生き物の習性や生態のことをとことん観察しなければ納得しません。 少年にとってその日の納得できないこととは、砂浜のヤドカリもどき足跡。そのカタチは...
投稿日:2019年05月27日
夕凪。

所さんの『笑ってこらえて』という人気番組があります。そのコーナーで、ご当地に行って地元のひとに「ここの自慢できるところを教えてください」と声をかけて紹介してもらうのがあります。 そんなノリで「沖縄の自慢できるところを教えてください」と訊かれれば、ぼくは迷わず浦添市の丘の上にある『浦添ゆうどれ』と答えようと思い...