• 2019-07-08 (月) 16:25
  • カテゴリー:ブログ

風のおもてなし。

 「この建物の斬新なところは“風の通り道”をつくったことだろうな」

美術館のあるアカラが出来上がってから五、六年してからだとおもいます。ある一級建築士が感慨深げに話してくれました。

“風”を主役にした建物ということですね。最初、その建築士の言うことを聞いて、なんとなくわかるような気もしましたが、どうも胸にストーンと落ちるものがありませんでした。

この“風の通り道”というのは、アカラのなかにほぼ南北に通っています。“ソイソイ通り”と“ワリミ通り”がありますが、風の量が多いのは“ワリミ通り”。“ワリミ”とは岩などの割れ目のことで、海岸などで人や風が海や陸に通り向けていく通り口みたいなものです。

このワリミ通りを時たま歩いて数年前からおもうことですが、北側から南側に歩いていくとき、猛烈な風に吹き上げられるというか、体当たりされるような勢いを感じることがあります。風の肌感覚というか匂いが体ごとぶつかってくるようです。このとき得も言われぬ高揚感に見舞われます。なんというか、“こころ”ではなく“からだ”が素直に反応しているようです。まさに、ノー・ストレス状態。なんか、いいですよね。

“こころ”ではなく“からだ”。なんと爽快な気分にしてくれるんでしょう。いつも“こころ”だけを重要視し過ぎていることはないでしょうか。“こころ”と“からだ”ふたつあってこそ、バランスよくひとの全体がスムーズに機能するとおもいます。とくに“からだ”はいち早く“風の信号”を受け止めているようです。

“ワリミ通り”は風が“からだ”に不思議ななにかを教えてくれるところ。風のおもてなしですね。

<當山>

(掲載作品『赤い陽傘』1999)