絵はタイムマシーン。

 ボクネン作品に『椏檀風』(あだんかぜ、2000年、掲載作品参照)があります。とても風を感じる作品です。それも南からの清々しい風ですね。

最初この作品を見たとき、瞬間にひとりぼっちにされた少年の頃を思い出しました。家族はみんな潮干狩りに出かけ、留守番を任されてそこを離れることができません。もう何時間たったのだろう。あたりも暗くなりかけました。このまま家族は帰ってこないのではないか。孤独に浸りながら家族の帰りを待ち続けるしかありません。その心もとない不安と涼しい風が一緒になって、なんともぼんやりとした時間がいつまでも過ぎて行きます。

この作品を見ると、いつもその“ぼんやりとした不安と風の心地よさ”を感じるのです。

また数々の『緑門』作品を見ると、海の好きな父親が夜漁に出て行ったまま、いつまでも帰ってこない切ないイメージがあります。その絵たちにも“ぼんやりとした不安と風の心地よさ”を感じます。

絵は時空を超えた“タイムマシーン”みたいです。<當山>

 

(掲載作品『椏檀風』2000年)