[ようこそ美術館へ]どうして版画があるんですか?

 最近にわかに“版画”の課外授業で来館する小学生が増えています。作家の作品をじかに感じて欲しいというのが先生たちの目的のようです。

その日来館したのは、中城小学校38名の4年生たち。自分が好きな作品を館内から一点選んで感想を書くというのが授業の課題です。

とりあえずみんな感想文を仕上げると、スタッフへの質問コーナー。

「どうして版画があるんですか?」

いきなりの哲学的な質問にスタッフもびっくり。

もごもごするスタッフが答えるには、

「油絵や水彩画などはひとりにしかプレゼントできないでしょ?でも版画はたくさん刷り上げることができるから母さん、父さん、兄弟、友達みんなにあげることができます。だから版画はたくさんの人に幸せをあげることができるんですね」

質問をした女の子は一応うなずきますが、まだなにか納得できないようす。

そこでスタッフはもうひとつの答えを用意しました。

「“どうして版画があるんですか”の答えは、もうひとつあります。それは手で描く“絵”にはない魅力があるからです。版画は“彫って”“刷る”という作業をしますから、直接的に手の影響を受けないんですね。そこには予想もできない味わいが出たりするのです。これも版画が“ある”もうひとつの理由です」

ちょっと10歳の子どもには難しい説明かなと思いもしましたが、女の子は自分なりに理解したようでした。

おそるべし!中城小学校の子どもたち。いきなり版画の本質的な質問をされてスタッフはタジタジでした。(當山)