投稿日:2019年12月23日
[ようこそ美術館へ]“絵”が及ぼす不思議。
「絵のなかにとても“音楽”を感じます。実は私は東北大震災で“住む場所”を失いました。その“場”がなくなったら、“音楽”や“芸能”までが失われたことがよくわかりました。ボクネンさんの絵に、芸能が生まれる“場”が描かれているのをすごく感じたからです」 こう静かな口調で話してくれたのは、仙台生まれの女性。絵から...
投稿日:2019年12月16日
[ようこそ美術館へ]黄色の差し色。
ボクネン美術館には、いろんな外国の方が訪れます。やはり、日本人とは違った鑑賞の仕方をしますので、スタッフとしてはとても勉強になります。それでも作家論、作品論と言うのは危ういものですから注意しなければなりません。 「とても素晴らしい!黄色の差し色が鮮やかでおもしろい!」 この感想は先日、来館した外国の男...
投稿日:2019年12月09日
[ようこそ美術館へ]「闇の覚醒」でしょ?
「これはね、闇が覚醒して光がとけたんだ。それから、とけた光はあのガイコツたちになったんだ。光は闇にあやつられているからね。画面にたくさん広がっている白いたまごたちは儀式をしている女の人たちになったんだ」 以上のくだりは小学4年生の男の子が、『万象連鎖』をみて話してくれた感想です。これ、ほんとうです。 ...
投稿日:2019年12月02日
[ようこそ美術館へ]今日は打ちのめされたなぁ。
「ワォー」 美術館で突然大声をあげたのは、子どもたちではありません。ボクネンです。 作家の前に列をつくり、次々に絵を見てもらっているのは、もうお馴染み「そらいろえん」の園児たち。 「いやあ、心をとらえて絵を描いてるなぁ」 「子どもたちは気持ちで絵が描けるんだなぁ。4歳でもうそういう気持ちに...
投稿日:2019年11月26日
[ようこそ美術館へ]明るさの後ろの悲しみ。
二人の40代の女性に声かけをしてみました。11月も後半の午後のこと。 BA(美術館):作品を見てどう感じましたか。 女性A:確かに絵は明るく描かれていますけど、その奥には暗い悲しみもまた感じます。 BA:へえ…、それは興味深いですね。 女性A:悲しさを明るさで表現している...
投稿日:2019年11月18日
私の『万象連鎖』。
11月16日から秋・冬の展示会『心のゆくえ』(万象連鎖シリーズⅢ)が始まりました。そこで開催にあたって、何人かのみなさんにシリーズ作品の感想を訊きます。(「万象連鎖シリーズ」とは“つなぎ絵”のスタイルでイメージのままに作品を作り続けていくというものです。ちなみに現在、226点に及んでいます) 今回は、ボクネ...
投稿日:2019年11月11日
見えないものを見る。
ボクネンが版画を彫る理由のひとつに、「世の中には見えるものより、見えないものの方がずっと多い」ということがあります。ですから「見えないもの」への創作の衝動に駆られ、彫る機会も増えます。「見えないもの」とは何か。これはどうにも理解できないままでいました。 それが一冊の民話を読んでいるときにピンときたのです。ヒ...
投稿日:2019年10月21日
[ようこそ美術館へ]どうして版画があるんですか?
最近にわかに“版画”の課外授業で来館する小学生が増えています。作家の作品をじかに感じて欲しいというのが先生たちの目的のようです。 その日来館したのは、中城小学校38名の4年生たち。自分が好きな作品を館内から一点選んで感想を書くというのが授業の課題です。 とりあえずみんな感想文を仕上げると、スタッフへの...
投稿日:2019年10月07日
[ようこそ美術館へ] Don't ask me!
「Don’t ask me!」 その日は、子どもたちの模写大会。一番最初に先生が注意したのは、この「Don’t ask me!」という英語でした。つまり、絵を描くときには「どうして描いたらいいの」とか「ここはどうするの」とかの質問は一切、聞かないでくださいということです。 絵は大人に教えられたり習っ...