夢中になれること。

夢中になれること。…

  少年は岩陰に隠れてもう何時間も砂浜のほうに目をやり、その目的の瞬間を待ち続けています。彼はクラスの誰よりも生き物が大好き。一度ふしぎとおもい合点がいかなければ、その生き物の習性や生態のことをとことん観察しなければ納得しません。  少年にとってその日の納得できないこととは、砂浜のヤドカリもどき足跡。そのカタチは... >>続きを読む。

夕凪。

夕凪。

 所さんの『笑ってこらえて』という人気番組があります。そのコーナーで、ご当地に行って地元のひとに「ここの自慢できるところを教えてください」と声をかけて紹介してもらうのがあります。  そんなノリで「沖縄の自慢できるところを教えてください」と訊かれれば、ぼくは迷わず浦添市の丘の上にある『浦添ゆうどれ』と答えようと思い... >>続きを読む。

梅雨。

梅雨。

 奄美に数日遅れて、沖縄も梅雨に入りました。この梅雨に、私はこれまでとくに関心を示さないで生きてきました。自然に対して敏感に慣れ親しむというところがなく、情緒のない人間なんですね。 ただ、この十数年前から少しだけ情緒のあるひとになりかけています。いまの時期、沖縄は梅雨の初めです。この時期に吹く南風を“黒はえ”... >>続きを読む。

絵のわかるところまで。

絵のわかるところまで。…

「絵がわからない」を毎週のように連呼している私ですが、それでも「絵のわかるところ」というのもきっとあるはずです。きょうは、そのあたりについて話せればとおもいます。なにしろ美術館で働いている私ですから、そこまではコミットすることから逃げられませんよね。 たとえば、去年あたりから日本でもとくに注目され始めているオ... >>続きを読む。

絵のわからなさ。

絵のわからなさ。

ある作品を見て、自由に語るひとがいます。例えば、渡り鳥が飛んでいると、「あれは自由をおうかしているんですね」とか、額いっぱいに描かれた闘鶏が描かれていると、「作者はそこから抜け出したいと心の解放を求めているんです」とか、はたまた数千羽のバッタの群れが空をおおっていると、「一羽一羽の孤独を象徴していますね」とか、... >>続きを読む。

胎内。

胎内。

この文章を読んでいる方で、一度でもボクネン美術館に足を運んでいるひとなら今日の話をいくらか感じてもらえるかも知れません。 ボクネン美術館は外観の大胆な赤瓦屋根のうねりとともに、館内の空間についてもそれぞれの“おもい”が込められました。きょうはその館内について話しましょう。 館内のデザインをしたのは、... >>続きを読む。

沈黙の言葉。

沈黙の言葉。

「色がとても力づよいですね」「絵の細かさにたいへん驚きました」「沖縄ならではの迫力ですね」などが、私たちの誰もが絵を前にして感想を述べるときの言葉です。でも、そう言ったあとになにかスッキリしない言葉の残り感があるのは誰もが経験したことがあるでしょう。 絵画や音楽の感想を述べることは、やさしいようでとても難... >>続きを読む。

[ようこそ美術館へ]ダーツの達人。

[ようこそ美術館へ]ダーツの達人。…

 4月も中日の15日。朝の天気予報以上に上昇しているような気がしました。23℃はあるでしょうか。まあここは沖縄、今日は半袖か長袖かというのは、午後あるいは夕方になってしかわかりません。そんなことはよくあることです…。 お昼も近くなった頃、私の友人3人組が美術館を訪ねてくれました。例によって、私は「なるほど」を... >>続きを読む。

[ようこそ美術館へ]世界レベルの作品。

[ようこそ美術館へ]世界レベルの作品。…

 数年前の話である。ハワイ大学と沖縄本島北部某大学の大学教授がおふたり、美術館を訪れた。ぼくは北部某大学の先生と知り合いだったので、彼がその友人を連れ立ってきてくれたのである。 しばらく館内を歩き回り、北部某大学の先生があるボクネン作品の前で立ち止まり、こう言った。 「ふむ、これは世界レベルの作品だね」... >>続きを読む。

[ようこそ美術館へ]作品の力。

[ようこそ美術館へ]作品の力。…

 去る3月11日、東日本大震災が起こって8年がたちました。まだまだ復興の途中だとおもいます。ぼくたちには、こんなことしか言えませんが、前に光を見て歩いて行ってほしいです。 こんなことから書き始めたのは、6年前の夏にボクネン美術館を訪ねて来てくれた宮城県の石巻の方を思い出したからです。その方は鑑賞メモも残してい... >>続きを読む。