祈り。

 ボクネンは作品の彫りに入る前や、森に入る時などに祈りを捧げます。これは神聖な世界に入るために、お伺いをたてているんですね。これと同じようなことを、超有名なシーサーづくりの陶工がやっているのを見たことがあります。窯に火入れをしているときのことです。まさに祈りを捧げているのを見て、つい次の質問をしてしまいました。

 「失敗のないように祈っているのですか?」

 すると、その名工は顔を真っ赤にして怒りました。

 「何を言うか、どこの職人に“失敗しない”ようにと祈る奴がいるか、ばかやろう。私は焼き物が“生まれてくること”に感謝を捧げているんだ。よく覚えておけ」

 インタビュアーは、顔面蒼白。その名工にとって作品ができることは、“命”が生まれてくることと同じでした。いやはや、インタビュアーだけが浅はかさを露呈することになってしまいました。<當山>

         <掲示作品ボクネン作『茂佐屋ヌシイサァ』1987年>