ボクネン作品にみる近未来

 ボクネンが2002年に描いた作品に『蟲河』(むしかわ)というのがあります。蛾や蝶やトンボらしき大群が夜空を飛翔しているものですが、その群れは大河のように宇宙の彼方らしきどこかに集団移動をしているように見えます。

 ボクネン作品には亜熱帯の色彩と大胆なタッチが画面を覆いつくしている画想が多いですが、『蟲河』のようなモノクロを主とした世紀末を思わせる作品は珍しいと言えます。これらの作品には地球(世界)の未来に対する不安な何かを感じさせるものがあります。

 作家は、生命は死の輝きによって、さらに深みをます、といったようなことを何度か発言していますから、『蟲河』のような未来を暗示させるような作品については安易に語ることはできません。

 さて、この世紀末を思わせる作品が、いま世界を恐怖に落としめている“新型コロナウイルス”の感染拡大となんらかのイメージを重ね合わせないわけにはいきません。

 少なくとも作家は、この作品でこれまで現代(世界)が進歩と信じて歩んできた“自然”と“人間”のねじれた関係に緊急の問いを発しているように思えます。<當山>