ヤワタ。

 新型コロナウイルスの余波で外に出歩くこともままならないし、旅行などにもなかなか行けるものではない状況になってしまいました。

 それでも我がボクネン美術館は、なんらかの清涼感を伝えたくて春の展示会『春の輝き』〜 “草花”は人間の仲間です 〜を始めました。ネット上で少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。

 さて、今展示会のなかに1991年に制作された『ヤワタ畑の歌』(掲示作品参照)というのがあります。この作品は当時上映された県産映画『ナビィーの恋』のポスターとして使われました。

 ヤワタ畑というだけあって、作品には男女がくつろぐ畑に、これでもかというふうにいっぱいのヤワタが咲いています。

 このヤワタは、方言名。和名が“ムラサキカタバミ”といえば、知ってる方も多いでしょう。この花は沖縄の土地柄に昔から多く自生していて、ほんとにポピュラーな花です。子供の頃は腹が空くと、茎を食べたりもしました。でも、最近ではお花屋さんにも色ととりどりの花々がありますから、このマイナーな“ヤワタ”にはみんな目もくれなくなりました。

 ところがです。ここ2、3年前のこと。畑の側に車をとめて休んでいると、ある青年が畑に入り込んで“ヤワタ”を束にするほど摘んでいるのを見かけました。そしてその束が直径10センチほどになると、近くにある藁で束にしました。すると、この青年、その花束を近くにいる女の子に差し出すじゃありませんか。

 ああ、今の時代にもこんな初々しいことをする青年がいるんだなあと思うと、なんだか恥ずかしいやら嬉しいやら。

 ボクネンが『ヤワタ畑の歌』の作品のなかで、たくさんのヤワタをちりばめているのも、きっとその青年と同じような気分になって制作したんでしょうね。<當山>