[ようこそ美術館へ] イラブチャー。

 来館者レポートです。

夏休みならではのお客さんたち。大人7名、子供4名の少人数。美術館を訪れてくれたのは、“うるま市生涯学習・文化振興センター”の「ゆらてく講座」のみなさん。

みんな和気あいあいとしているのは、親子や地域の仲良しグループだから。鑑賞のあとは“センター”に帰って、みんなで版画に取り組むそう。まずは、ボクネンに版画の話を聞かせてほいしいということで、この日は「ミニ版画講話」ということになりました。

 講話が始まると、なんと子どもより大人の方が質問の目白押し。

「裏彩色ということですが、色と色の境目がとてもはっきりして、メリハリがあるように感じます。裏から着色して、なぜそんな風にきれいに仕上がるのですか?」

とお母さん。

「版画は心配しても何も始まりません。まずはやってみること。案外、うまくいくものです。あまり自分を難しくしてはいけません」

というボクネンのアドバイスに納得したようなしないような。

子どもの方は、お母さんたちの質問に多さに大人しくしていたのですが、最後にずっと黙っていた男の子が、「何を描きたいの?」というボクネンの質問に間髪入れずこう答えました。

「イラブチャー」

これには魚好きのボクネンも嬉しそう。大人たちが難しい質問をしているなか、男の子のひと声はあまりにダイレクト。受けをねらった言い方ではありませんでした。これこそ絵を描く素直さの見本。作家の胸に響いたようです。

「そうか、それは楽しみだなぁ」

こんなふうに、その日の講話は少ない人数にも関わらず、好奇心の旺盛な質問が次から次へと飛び交いました。なによりも男の子の「イラブチャー」のひと声が館内を一番元気にしたようです。

作品が上がったら見せてもらう約束をして、みなさん美術館を後にしました。(當山)

 

  • イラブチャー=ブダイのこと。鋭い歯で海草をかじり、豪快な体形と体色でけっこう目立つ魚。