悲しい色。

 今回も、ボクネンが版画をやる前の傑作イラストレーションをひとつ紹介しましょう。

前回と同様、1985年に発刊された『てぃぬひらおきなわ昔ばなし』(うすく村出版)の「浜千鳥」(ハマチジュヤー、掲載作品参照)のなかで描かれた挿絵です

 

「愛する息子のジラーを 台風で失ってから

雨の日も 風の日も 毎日 毎日 帰るはずのない息子を

待ちわびて いたんださぁ マンクーの悲しそうな後ろ姿が

みんなの涙を さそってねぇ」

 

というくだりに挿入された絵です。

この絵を初めて見たとき、静かな衝撃をおぼえました。実に気持ちのこもった素晴らしい絵です。今でもこの『てぃぬひらおきなわ昔ばなし』のページをめくると、このページの、この絵をじっと眺めます。

この絵の素晴らしさを裏づけているのは、二つあるとおもいます。ひとつはまず目に入れた瞬間、映画であれば大画面に引き込まれるような、ひとを惹きつける画面の魅力や迫力に富んでいることです。

二つ目はマンクーの後ろ姿が夕日に染まって佇んでいるところ。これは見るものを感情や物語の世界へと誘なっています。

これら二つの点は、この挿絵を魅力的にしている大きな理由なのだとおもいます。みなさんは、どのように感じますか。

<當山>

 

(掲載作品『浜千鳥』1985)