[ようこそ美術館へ]恩納村塩屋老人クラブ

 この時季、南島では季節風がくるくる回って天気も不安定になりがちという2月19日。

案のじょう雨に降られてしまいました。そんな悪天候のなか予定時刻より30分も遅れてやってきたのは、恩納村塩屋老人クラブのみなさん。総勢14名が美術館に足を運んでくれました。

何回かこのブログを読んでいる方はもうご存知だとおもいます。すでに各字ごとに何度も来館いただいている恩納村の老人クラブのみなさん。いまや顔なじみもちらほらできたほど。

さて鑑賞です。来館は2度目という79歳の男性がある作品を見て、かなり集中しているようす。

ぼくはすかさず近づいて、聞きました。

「2度目の感想は、いかかがですか?」

すると男性は静かにこう答えるのでした。

「ふーむ。やっぱりわからん…」

それでもその男性。作品から目を離しません。

「いやいや、誰でも絵をわかるひとはいませんよ。わからないのが普通のことですから」

とぼく。でもその男性なぜかやっぱり黙ったまま。

「絵は教えたり、教えられたりするものではありません。それぞれがじぶんで楽しむことが一番いいんですからね」

とぼくがさらにおしゃべりすると、その男性ようやく笑みを浮かべてくれました。

そして、こう言ったのです。

「ふむ、才能だね。こんな絵が描けるのは。才能しかないね。おもしろいね」

ときた。この男性、いつのまにか「わからん」から「おもしろいね」に変わっていました。

ちなみに、老人クラブのみなさんがよく訪れてくれる美術鑑賞の生涯学習。最初はほとんどの方が、「私にはわかん、わからん」をくり返すばかりでしたが、最近は率直な感想を述べてくださる方が増えてきました。

「いろんな絵に、丸が描かれていますよね。そのなかに黒丸もあって目玉のようにも見えるんですが…。これはなんですか?」

とおっしゃるのは、おしゃれなご婦人。

「もちろん勝手な解釈ですが、丸はぼくには“命”や“魂”の象徴に見えてしようがないですけどね」

とぼくが話すとそのご婦人、館内の移動を始めました。

「ほら、こっちにも。あっちにも」

と繰り返しながら絵をどんどん指差していきます。

ぼくはそのとき、このご婦人が絵を楽しんでいる子どものようにみえました。こんなに絵と遊んでくれるというか、時間を忘れてくれていることが、こちらとしてもちょっぴり感動もんでした。

このほかにも、ユニークな鑑賞者は数えきれないほど。

なにはともあれ、絵を喜んでいるひとが増え始めているというのはスタッフとしても嬉しい限りです。

恩納村塩屋区のみなさん、雨のなかお疲れさまでした。