[ようこそ美術館へ]恩納村名嘉真老人クラブ

 まだ2月21日というのに、日中24℃というポカポカの木曜日。やっぱり「沖縄だなー」とおもわせる陽気。

ゆったりとした足取りで美術館を訪れたのは、恩納村名嘉真(なかま)老人クラブの13名さま。例のごとく恩納村の老人会の方々の来館はもうお馴染み。この日もなんにんかのひとが、二度目と言う方もいました。

何回も美術館に足を運んでくれる鑑賞者がいることは、やはりスタッフとしても嬉しいですよね。

さて、鑑賞レポのスタートです。

まず館内なかほどに常設展示をしている焼き物オブジェ作品。美術館に版画ではない作品があることに驚かれる読者もいると思いますが、実は2010年にボクネンは大々的にその焼き物アートに挑戦したことがあります。そのとき7点のオブジェを制作しました。

大きな焼き物作品は初めてでしたが、勘を頼りに粘土を一気に造形し窯に入れたのですが、工房を貸してくださったオーナーも初めてにもかかわらず、その非凡ぶりに舌を巻いていました。

さて、そのとき制作したのがオブジェシリーズのひとつ『カ・イ・タ・マ』をじっと見続けている男性がひとり。

「この作品、どういう風に感じますか」

と、そっと近づくぼく。

「ううん、これは木の根っこだろうね」

と、すかさず答える男性。

ちなみに、この作品たちは命を象徴したのが「タマ(玉・魂)」シリーズ。さてその男性が作品を見た感想を「木の根っこ」と答えたのは、当たらずとも的を得たものでした。実際この作品は、貝や角(つの)や葉などに宿る“命の息吹”をテーマに制作したものです。おそらくこの男性、「木の根っこ」と答えたのは“ほとばしる木のエネルギー”を直感的に感じたのでしょう。

『カ・イ・タ・マ』

 さて、『節気慈風』(一年ごとの常設作品)の前では、あるご婦人が絵に描かれたたくさん花の名前を次々と声にして挙げてくれました。実によく花の名前を知っていて驚かされたほどです。この婦人も先ほどの「木の根っこ」と話した男性とともに、日頃から“自然”に親しんでいる方だろうと思われました。

絵は頭で考えるより目に映った映像を自らで楽しむということが、いかに素晴らしいかを教えてくれた鑑賞者のみなさんでした。

そして『万象連鎖』シリーズ(つなぎ絵で描かれ続けている作品群)の作品を見て、あるご婦人がつぶやくようにひとこと。「このひと(画家)は、たか生まれ(霊力の高いひと)だねぇ」。するとこのご婦人、おもむろに次の作品に向かって歩き出しました。

名嘉真老人クラブのみなさん、それぞれが鑑賞を喜んでくれた密度の濃い30分でした。

ご来館、どうもありがとうございました。