[ようこそ美術館へ]展示中の作品から。

 今回も、いま美術館で行われている展示会『生命の息吹』から1点紹介させてください。

八重山にミンサー織りという木綿素材の工芸があります。その模様(柄)はかなり有名ですから、みなさんもよく知っているとおもいます。真ん中が空いた十字とその反転した二つの図柄でできていますが、これは五つと四つの四角ができることから「いつ(五)の世(四)までも」という意味が込められ、恋人たちの贈り物などに喜ばれているようです。言うなれば、若いひとたちの祈り(願い)ですね。

でもこの意味づけは、いささか新しい時代に考えられたもののような気がします。語呂合わせ的なニュアンスがぬぐえませんからね。しかしながら模様(図柄)に願い(祈り)を託すというのは、古代から現代のアメリカンインディアンやアボリジーニの人たちの世界を筆頭にたくさんの種族・民族がその文化として紡いできたようです。

ここでボクネン版画によく出てくる「模様(柄)」について考えてみましょう。たとえば『万象連鎖202「森眼」』(しんがん、2009年)<掲載作品参照>を見てみます。真ん中に描かれた女性の周囲には木の葉や木の実などがデフォルメされ、次第に自在な「模様(柄)」に変わっていっています。これは古代のひとが模様(柄)に込めた「祈り」に近いものではないでしょうか。

ちなみに、この女性が何を祈っているのかは私にとって想像を絶するものがありそうなので、今回はタオルを投げさせてもらいます(降参!)。

もちろん作家はこれを意図して模様(柄)にしていったのではないのだとおもいます。作家も無意識にそうしたのでしょう。こういった制作の道筋はアートにとても大事な要素だとおもいます。

たとえば、4〜5歳の子どもの自由奔放な絵がなぜ面白いのかというと、子どもたちは母さんや父さん、保育園のお友だちへの「願い」(祈り)をしっかりと込めて描いているからではないでしょうか。これが今回の私の独断と偏見です。ここんとこはいつものように「絵は見るひとのもの」ということでご勘弁くださいね。