[ようこそ美術館へ]豊見城市ウージ染め協同組合のみなさん。「これは“概念”が頭にあると描けませんね」

今年1918年も2週間を切った12月19日。23℃のあったかい水曜日。豊見城市から19名のお客様が美術館に足を運んでくれました。

サトウキビから生まれたウージ染め織り物のプロのみなさん。日頃から沖縄の色彩には敏感な方たちだけあって、色へのこだわりはスタッフも勉強になるほどでした。

ちなみに、みなさんすべて女性の方々。ボクネン作品についての感性豊かな質問は、色だけでなく制作へのテーマや方法についても鋭い質問が矢継ぎ早でした。

作品に見入るある女性は、作品の自由奔放な画風について、「概念がないからこんなふうに描けるのでしょうね」となかなかの鋭い感想。

つまり作品を彫るときにもの凄いスピードで彫るのであれば、「概念」は邪魔になるのではないかというんですね、その方は。それで不思議な絵にもなるじゃないかと言うわけです。

確かに制作中は作品対象物の実際の「景物」よりも感覚や直感だけが先行するはずです。そうじゃないと、ほとんど下書きのない版画制作は到底不可能なはず。「概念」をヒントに制作の流れや仕組みを考えるのは、さすがウージ染め織り物の技術者ならではの意見だと感心させられました。

また、研修者のひとりにロシア人の女性が。彼女は女神たちが描かれている『泡産玉』(あわうぶだま、2005年)に関心を示していました。3人の女神が空に浮かんでいるのは珍しいと言い、なにしろこの作品が「板」に彫られて刷られた和紙に着色されるという「版画」自体を見たのも、版画を日本語で説明されるのも初めてということでした。彼女はカルチャーショックで、しばらくそこから動けないようでした。

さてこのツアー、ほとんど時間が押していてしばらくの鑑賞の時間で帰らなければなりませんでしたから、「次はもっと時間をかけて来ます」と残念そうにみなさん美術館をあとにしました。

それでもその短い時間での「ウージ染め」の職人さんたちらしい感性豊かないろんな意見は、いやはや興味深いものでした。

「豊見城市ウージ染め協同組合」のみなさん、またの来館をお待ちしています。