[ようこそ美術館へ]展示会の作品から

今、ボクネン美術館では「生命の息吹」〜地球のまつり〜を開催中です。そこで僕の「一押し」を紹介しますね。それは1999年に制作された『根吹桜』(ねぶきざくら)という作品です。その理由を紹介してみましょう。「絵に説明はいらない」「絵は観るひとのものだ」という言い方がありますが、「絵は観るひとのものだ」を唯一の助けにして話してみたいと思います。

かつてボクネンはそのインタビューのなかで、「結局、絵を描くのは“風”と“光”を感じてもらいたいからだ。そのために創作しているんだね」という印象的な言葉を口にしたことがあります。そのご、ぼんやりと“風”と“光”を頭のどこかに温存していました。つまり、その絶対的な作風を持つ作品に出会ってみたいという気持ちがあったのです。しかしそれは理屈で見ていますから、なかなか目に入ってこないんですね。

そんなとき、上に掲載している『根吹桜』に出会ったのです。作家はいつもその画想の「エネルギッシュ」ななかに「予断を許さないドラマ」が展開していますが、ここに挙げた『根吹桜』は緻密な自然世界を表現していて、そこのなかに“風”と“光”を目に感じたのです。

細かく細かく彫られた“木の葉の切れ端”みたいな“風”と“光”の粒子がその画面のなかに蠢くように生きて感じられるのです。

どんな作家でも絵のなかに本当の“風”や“光”を描くことはできません。セザンヌにしてもルノアールにしてもです。ただそこにあるのは、作家の生きてきた心と体の体験なのでしょう。『根吹桜』に描かれた“風”や“光”は、作家の生きてきた感情世界の足跡なのだとおもいます。

この『根吹桜』が今、企画展に展示されています。お越しの際には、僕と版画ゆんたくをしましょう。ぜひ、声をかけてくださいね。                                 (當山)