[ようこそ美術館へ]“そらいろえん”のみんながやってきた。

11月に入ってまもなく美術館に一枚のファックスが届きました。

 

「わあ〜!」しゅりちゃんとその近くにいた子ども達が声をあげました。

「キレイ!」

「夜の絵かなぁ」

「キラキラ光っているね。キレーイ!」

「オウチの光かなぁ」

「星みたい!」

保育士の私が「この絵を描いたボクネンさんの美術館が北谷にあるよ」と伝えると「行きたい!行きたい!」

…そして、ほかの子ども達からも承諾を得て遠足の計画を立てました。

 

風かおるうららかな春をおもわせる9日。27度という陽気は沖縄ならではです。オープン午前11時とともに美術館をにぎわせてくれたのは、3歳から5歳までの園児18名。異年齢集団ともいうそうです。読谷村の長浜にある“そらいろえん”の子どもたち。遠足をかねて“模写お絵かき”の授業でやってきたのです。

私たちスタッフは心ひそかに、ああまた暴れん坊将軍たちがやがて騒ぎ出すんだろうなと高をくくっていると、まるで大違い。元気いっぱいの挨拶。ニコニコ笑顔。それからおもむろにみんなで円を組んで座り込むと、美術館での注意事項を園で事前におさらいしたのでしょう。みんなで代わりばんこにすらすらと口にしました。

そしてお絵かきも、さっさと取り組み始めます。

感心した私たちスタッフは、さっそく園長の山本真紀さんに話を聞いてみました。「自分が困ることをひとにされたら、困るでしょう? だからひとが困ることはしてはいけません。もしみんなが美術館の絵を汚したら、ボクネンさんが困りますよね!」と山本園長はそんなふうに保育園でみんなに話したそうです。いつも子どもたちに頭越しに命令するのではなく、子どもたち自身がよく納得するように同じ目線で語りかけるというのが園長の信念だというのです。

それにしても、子どもたちはしっかりとじぶんの意見を言うし、尻込むこともありません。

そして、山本園長自身のことについても聞いてみました。すると山本さんは5歳ですでに保育士になることを決めていたと言います。本土から沖縄に移り住んで10年。異郷の地でいろいろありながら、今日の“そらいろえん”をつくってきたと言います。子どもたちのきびきびした行動は、やはり山本さんの人間的な魅力がそうさせたのだろうと、私たちは納得しました。

さてお絵かきに入った園児たち。これまでは図鑑や絵本を見て描いてきたのを、その日は美術館での作品を目の前にしてのお絵かき。その集中力たるや脱帽ものでした。館内で模写を始めたたくさんのちびっこピカソやシャガールやゴッホたちは、時間とともに個性豊かな芸術作品を続々と描きあげていきました。

子どもは親を見ればわかると言いますが、園児は園長をみればわかるということを納得させられた“お絵かき授業”でした。