[ようこそ美術館へ]どうして月のなかに、魚がいるの?

 

マイクロバス“恩納ナビー号”がやってきたのは、8月22日のこと。すると、8月31日も“恩納ナビー号”が2台も美術館に横づけた。今度は、恩納村前兼久老人会のみなさん。総勢38名は、もう賑やかというしかありません。

この日もそうでしたが、とにもかくにも多くの鑑賞者はたくさんの質問を繰り出してきました。スタッフは、ボクネンの「絵は見る人もの」という考えをことわったあとで、スタッフ自身の考えを述べます。もちろん絵に正解というのはなく、こんな考えもあるというくらいの話です。

「この月は、どうして魚が描かれているかね」

いきなりのカウンターパンチにスタッフも驚くしかありません。「画家というのは、見たものをそのまま描くとは限りません」

とスタッフ。

「どうしてかね?」

その婦人。

「もちろん、最初はウサギを描こうと思っていたのかも知れません。ところが、描き出したら、いつの間にか魚になってしまうということもありうるんです。それがアーティストということかも知れません。そこらへんは私にもわかりません」

と、スタッフ。

「どうして、そうなるの?」

と、その婦人。

「画家の頭のなかにはいろんな絵を描くイメージがあります。たまたま好きな魚のアイデアが浮かんできたんでしょうというしかありません」

「そうねぇ。そういうところが芸術家なんだねぇ」

そんな好奇心旺盛なみなさんが、あれこれとどんどん質問を出してきて、美術館スタッフとしては嬉しい悲鳴。

そして次に、これもよくある質問。

「どうして、みんな女性の絵が多いんですかねぇ?」

それに対してスタッフは、

「これはあくまで私の意見ですが、女神、天女、ノロ、聖母などなど、この社会にはいろんな女性像がありますが、これは芸術家ばかりでなく、すべての人間の永年のテーマなのではないかとおもいます」

すると頷くかたが、ちらほら。

そんなこんなで、皆さん好奇心旺盛なかたばかり。

最後に難問を投げてくれたのは、ある上品な婦人。『節気慈風』を指差しながら、

「この絵に描いてあるぜんぶの、風や鳥、花の名前を知りたいんです。ぜひ教えてください」

婦人は『節気慈風』についてのスタッフの細かい説明がないことに少し不満げのようす。

もちろんスタッフは、平に謝るしかありません。

「この絵に描かれている自然物や自然現象の話は、もう百科事典みたいなもの。私の知識ではとても追いつけません。興味のある方は、作品前に置いてある冊子にいろいろと書いてありますのでご覧ください」

すると皆さん、大笑い。

大兼久のみなさん、ありがとうございました。