渡り鳥。

 世の中にはびっくりすることがいっぱいある。最近もひとつあった。我慢ができないので話をさせてほしい。

渡り鳥のことである。首を大空に向けて渡り鳥が飛んでいくのを眺めるのはなんとも情緒的でいいものだけど、彼らの生態についてはほとんど知らないのが正直なところ。そのくらいの知識だから、せっかく南島にも季節の風物詩としてさまざな渡り鳥が飛び交ってくるのに眺めるだけでは確かにもったいないとおもう。

そこで渡り鳥に無知である私が、びっくりした最近の話というのは、沖縄ではなく北海道の冬鳥の“雁”のこと。連隊を組んでV字型に飛んでいるのを見るのはなんとも雄大そのものだが、その角度には驚くべき仕組みがあるという。

つまり、一羽の鳥がくたびれたら休んでもらうために、となりの奴が替わりに頑張って飛ぶという並びになっているというのである。さらに面白いのは、前に飛んでいる鳥は後ろで飛んでいる鳥が楽に飛べるように、なんと風を送ってあげているというのだ。

そうなんです。あのV字の角度は、みんなが休みつつ交代で代わり番こに飛べるようになっているんだって。だから大空で連帯が止まることはないんだね。「ああ、そんなこと知っているよ」というひともいるかも知れない。でも、この渡り鳥のV字型、最高に慎ましくていい話だよ。(作品『旅の夜空』名嘉睦稔、2001年、95.0×184.0 cm)