投稿日時:2016年07月19日(火) 15:02
ルノワールってどんなひと?
ルノワール。19世紀に活躍したフランスの印象派の画家。『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』や『船遊びをする人々の昼食』などの生き生きとした庶民の幸せな光あふれる作品を描いた世界の名だたる画家です。
しかし、この画家がもっとおもしろいのは、その性格です。というのは、作品は明るいのに画家はほぼ暗い性格だったらしいこと。「楽しくなかったら絵なんか描きませんよ」とか「芸術が愛らしいものであっては、なぜいけないんだ? 世の中は不愉快なことだらけじゃないか」また、「もし婦人の乳房と尻がなかったら、私は絵を描かなかったかも知れない」などと歯に衣を着せずものを言うはっきりした性格だったことも伝わっています。
このことは作家がじぶんの性格にのめり込み過ぎず、冷静な態度で「仕事をした」ということなのでしょう。じぶんの性格と描き出す作品の間に線を引いて、醒めた目で冷静に仕事をしたということになります。つまり、ルノワールの例からすれば、「じぶんの悩み」と「じぶんの創作する精神」は別物であったほうが、よりいい作品が生めるということなのかもしれません。これはほかのことにも言えるような気がします。
そういえば「じぶんの悩み」を解決するには大概が「悩んだ顔」では、とうてい埒があかないものです。ルノワールは陰気、そして非社交的であったらしいですけど、作品は「限りなく美しく」そして「庶民の喜び」の世界を描き切っています。作品と精神を分離させているルノワールは、ほんとうにおもしろいひとだとおもいます。「絵」を考えるというより「人間」を考えさせられてしまいますね。