投稿日時:2016年07月11日(月) 14:04
ギャラリー散歩
この土曜日(7月15日)から新しい展示会『島を彫る』が始まる。島の自然と文化の風景(情景)がぞんぶんに味わえる44点、ぜひお見逃し無く。ところで、この展示会名『島を彫る』の「彫る」にはいろんな意味が隠れていておもしろい。
例えば、この「彫る」だが、もちろん「掘る」にひっかけてものだが、版画の「彫る」という意味と“島を深く考える”という意味の「掘る」を連想させている。そこでいつもタイトルには英語訳をぼくがのっけるのだが、ついにその難しさに断念して、ほかのひとに訳を依頼することになった。
そしてこの「彫る」と「掘る」という言葉のもっとを考えてみると、版木に最初刀を入れるときには「掘る」という作業になるだろうし、裏から着色するときは「彫る」ということになるのではないかとおもう。つまり、ボクネン版画には「彫り」と「着色」があるのだが、「掘り」は無意識に手が動いてしまう作業ではないか、そして「彫り」は「着色」に相当する意識的な作業ではないだろうか。
版画はこの無意識の「掘り」と意識的な「着色」の総合だという気がする。(上掲作品『礼拝』1991年)