投稿日時:2016年05月16日(月) 14:10
ギャラリー散歩
沖縄ももうすぐ梅雨が刻々と近づいています。超天気になったり夜中に雨が降ったりで、まさに梅雨の前夜って感じですね。ぼくは今の季節になると、民家の生垣や門などに巻き付いて艶やかな花を咲かせる「ブーゲンビレア」のことを頭に浮かべます。ちなみにボクネン作品にもこの『ブーゲンビレア』(1989年、30.4×45.0 cm)という作品があり、この版画がいつも頭のなかに出てきます。
ただ、ぼくはこの『ブーゲンビレア』にちょっと不思議におもうところがありました。この版画がブーゲンビレアで“夏”を感じさせることはもちろんですが、以前からこの作品には“水”のうねりというか、回流のようなイメージがしてしようがなかったのです。どうして、ぼくはこの作品に“水”の命みたいなものを感じるのだろうと、しばらく不思議たまりませんでした。
この不思議が、最近わかったのです。もちろん、ぼくなりにですがね…。つまり、沖縄のブーゲンビレアの開花が5月から10月くらいまでとすると、そういえば梅雨も5月から6月の中旬くらいまでではないですか。そうなんです。ブーゲンビレアの開花と梅雨のはじまりとが大体同じ時期なんですね。つまり、この作品にぼくが“水”を感じていたのは、梅雨の時期とブーゲンビレアの花期が同調していたからなんですね。
それにしても不思議です。この『ブーゲンビレア』という作品には、梅雨の“水”が地下水のようにとくとくと隠れているんですね。