ボクネン展Vol.28 『心のゆくえ』 〜万象連鎖シリーズⅢ(No.164〜226)〜

作家生活35年に及ぶ全作品のなかで、おそらく問題作でありライフワークと言っても間違いない創作プロジェクトがこの『万象連鎖シリーズ』でしょう。1997年発表の『一本道の福木』を起点に現地点の全作品226点(現在も進行中)に及ぶ“つなぎ絵”の世界はまさに壮大な異次元を彫る実験的な仕事と言えます。シリーズは脳裏に次から次へと浮かんでくる作品たちを“獲る”ということですが、果たしてその“つながり”は“物語”なのか、それとも“無意識”の創作なのか。興味は尽きません。もちろん作家も人間ですから、200余にも及ぶ作品の“つながり”を論理的に説明するのは不可能でしょう。ちなみに目に見える世界が物語で展開するぶんには誰もが理解できますが、目に見えない世界の“つなぎ絵”は想像もつかない展開になることでしょう。シリーズの中枢は、見えない世界を“絵でつなぐ”という挑戦的な創作です。しかしこれこそがこのシリーズの心臓部であり、人間理解の手がかりになるはずです。作家は「絵のイメージが全方向へ無限に立ち現れてくるから永久に終わらない」と言います。これは意味の追求ではなく、意識の深層世界を彷徨っていることになります。今回は(No164〜226)を一挙に展示すると共に、シリーズⅠ・Ⅱで展示した作品(No.1〜163)も印刷のパネルにて紹介。どうぞこの機会に圧巻の“つなぎ絵の世界”をご堪能ください。

                   ボクネン美術館 當山忠