[ようこそ美術館へ]恩納村谷茶老人会のみなさん。

 

プロ野球キャンプも始まったというのに、小雨が止まらない2月8日の午後。総勢14名の恩納村谷茶老人会のみなさんが美術館に足を運んでくれました。

ありがたいことにこの恩納村のみなさん、もう各字7組ほども訪れてきてくれています。ぼくは、おそらく二度も来館されている方もいらっしゃるとおもい「同じ解説が重なるとかさなるといけませんから、なるべくおしゃべりを控えますね」とことわると、「いやいや、みんな初めてですよ」と口ぐちに言うんですね。先導の係の方に聞くと、恩納村にはまだの字も残っているから、ほかの方々の来館もまだありそうだといいます。

まあ、とにもかくにも私たちスタッフにしたら多くの方の来館はありがたいこと。

そしていよいよ、みなさん美術館へ。するとあるご婦人が近づいてきて「あなた、ボクネンさんじゃないですよね」と聞いてきた。

そうでないことを伝えると「あまりにもテレビで見たボクネンさんと、あなたとは違うもんだから」(ぼくは身長が低く、ややぽっちゃり型)と返ってきて、みなさん大苦笑。

そんな一等最初の笑いで始まった谷茶老人会のみなさん、屈託のない方ばかり。それでも「沖縄だからの色使いですね」とか「どこからこんないろんな絵が出てくるんでしょうか」とか、しまいには「沖縄にはこんなひとがいるんだね」とか、不思議そうな顔をして、みなさん興味の示しっぱなしでした。

最後はやはり『節気慈風』の前に何人かが立ち尽くし、直立状態。その豪快さと緻密さに「このひとは、神がかっているんでしょうね」とお互い目を丸くしていました。

谷茶老人会のみなさん。雨の中のご来館、ありがとうございました。

 

さて、去年あたりから生涯学習と称して老人会や中高年の団体、福祉施設の方々が数多く訪れるようになっています。とくに老人会のほとんどの方々が美術館に来るのは初めてだと言います。

興味深いのは、思いのある絵の前では立ち尽くすひとが多いということ。まるで絵の世界に迷い込んでいるようです。その素朴な絵の鑑賞の仕方は、なんだかとても癒される気がします。これまで会ったことのない絵に素直に向かい合い、遠くを見つめるような目ですね。

おそらく、みなさんの青春時代は仕事に忙しく美術館や映画館とは縁がなかったのでしょう。だからこそ、“絵”への対し方がとても自然にみえた気がします。絵を“見る”と言うより、絵を“経験する”といったほうが、いいようにおもえました。