開催中の展示会『水の記憶』の作品から。

 今、開催中の展示会『水の記憶〜すべての始まり〜』から作品を紹介しています。今回は『波紋』(はもん、2000年作)です。上に掲げているのがそうですが、実はこの作品はある不思議さを感ぜずにはいられないもので、ボクネン自身の資質をもっともよく表しているものと思われます。

その不思議さとはこの作品が、どんな場所でどの方向から作家が描いているのかという疑問です。実はボクネン作品にはこの“どこから描かれたのか”ということがどうにもわからない作品がいくつかあります。その位置は空中であったり崖の斜面からだったりしますから、人間であれば到底そこから描けるはずがありません。

ボクネンは、「この作品はもっと上の方に脚立を置いて描いたんだ」と言いますが、実際は脚立なんて持っていけない山の斜面や海の上かなんかですから、実際にそこにいて描いたわけではないのです。つまり、瞬間移動で描いたということになりますね。これは人間の能力を超えた“超視線”の位置から作品を描いているというわけですね。幼い頃から島に育ち、故郷の島を出るまで自然を超視線の位置から見ることに鍛錬を重ねたということになるんだろうと思います。

ちなみに小説家の吉本ばななさんが自宅の玄関にこの『波紋』を飾ってあるそうですが、彼女はこの作品について“3Dなんですよね。ボクネンは…”といみじくも言っていました。(展示会は、7月16日まで)