投稿日時:2016年02月08日(月) 14:34

ギャラリー散歩

GS160208

昨夜2月7日、日曜美術館で「村上隆の五百羅漢図」が紹介され、村上自身もインタビューに応えていた。これは東京・六本木の森美術館で開かれているもので、最大の呼び物は『五百羅漢図』である。全長100メートルにも及ぶ超巨大なもので、番組進行の井浦さんも圧倒されていた。

さて、この作品はタイトル通り五百の羅漢(仏教で悟りを開いた仏の弟子たち)を描いたもので、アニメチックな羅漢たちに強烈なインパクトを感じさせるものであった。この作品を観て、まず感じたのはこの10年の「東日本大震災」や「米中枢同時テロ」などを中心とした天災人災の世界的な窮地の現在を表現しているようにおもえた。世界の混迷、やり場のなさを村上は『五百羅漢図』におもいを託したのだとおもえる。

しかし私はおもったものだ。この『五百羅漢図』は現実世界の混迷・窮地を描いているものの、言ってみれば「希望」という光がこの作品に観ることができるだろうか、ということであった。もちろん、この世界の現状は先の見えない「現実世界」を示しているにちがいない。ましてや「希望」などそんな甘いものが今の荒れ果てた世界に存在するはずがないだろうとみんな言うだろう。さすがに村上は「日本人による表現」というのを下地に、この超ダイナミックな作品を完成させて「死んでもいい」と話していた。たしかにこの作品は、大仕事であり大作である。それだけでも大変なことだとおもう。

ところがだ。私はこの手の作品に是が非とも「希望の光」をみたいのだとおもう。さて、私たち美術館には亜熱帯の幸・恵みである『大礁円環』と『節季慈風』という作品がある。これらの作品が南島から発する「希望」ある作品として世界に届くことができればとおもう。なんとしても作品には「希望」の光がほしいのである。