投稿日時:2014年08月07日(木) 15:27

ばんばんニュース 第10号

版版ニュース2

 いま、ボクネン美術館で開催中なのが「お絵描き週間」。今回で4回目になるのかな。ところが、本日7日(木)と8日(金)は台風11号の接近で中止となりました。楽しみにしていた方は、どうもすみませんでした。さて僕もはりつき人員として、昨日は1時から4時まで子どもたちや親御さんとお話をさせてもらいました。
 さてその話をもちだしたのは、実はぼくが子どもの絵を見るのをほんとに楽しみにしているからなんです。というのは子どもたちはボカビュラリーが豊富でありませんから、自分の気持ちを言葉で言い表すのは得意ではありませんよね。まあ、大人だっていろいろじぶんのことを言葉で説明しますが、それはほんとのことを伝えているのではありませんけどね。
 つまり、ものごとを言葉にすると大人とはいえどうしても噓がでてしまいます。言ってしまえば、言葉を発しないときこそが「ほんとうのじぶん」を伝えていることになります。あらら、話が脱線気味になっちゃいました。すみません。
 さて話をもとにもどしましょう。言葉自体が精確でないとすれば、沈黙と「手の表現」こそがその子ども(大人も)のほんとうのこころを表わしているのだといえましょう。そうなんです。「手の仕事」である「絵」は子どもたたちの最大の気持ちを伝える手段になるわけです。それはむしろ大人たちより子どもたちの方がプロ級だと言ってもいいことになります。
 これで僕が毎年この「お絵描き」大会を楽しみにしているわけがわかりましたね。まず絵を描いている子どもたちのところへ行って、じっくりその絵を観察します。そして僕が気になるところを、何気なく聴いたりします。親御さんがいればその方にも話を聴きます。そこでの発見はもうほんとに発見がいっぱい。感動すらおぼえます。
 ちなみに今回参加してくれた3人(T君、H君兄弟と従兄弟のHK君)のことを少し話してみましょう。もちろん、T君とH君のパパであるMさんも一緒です。
 まずT君の絵にはイルカ、クジラなどを中心にいろいろな魚が描かれていました。そしてイルカ、クジラの名称ばかりでなく生態もめっぽう詳しいのです。聴いてみるとやはり将来海洋学者になりたいと言うのです。細かいイルカ・クジラの説明にはぼくも脱帽っていったところです。
 おそらくこの絵はT君が将来のじぶんと会話しているのだなとおもい、僕はしきりに感心。
 そしてH君の絵と言えば海のなかのシーンですが、画面をいっぱいにつかって絵のそれぞれの素材のバランスがとってもいいんですね。ぼくはすかさずパパに言いました。「この子の絵はバランス感覚やまとめる才能が最高ですね」と言うと、さすがにパパも言いました。「そうなんです。家でもいつもなにかをつくっているんですよ。それに学校では工作が得意なんですよ」という答えが返ってきました。「このT君はものづくりやディレクター関連の仕事にいくのかもしれませんね」といいうとT君のパパ「はははあはは、そうなんです。いつも友だちを呼んでなにかをつくったりするんですよ」とい答えてくれました。僕とパパは、そのときなんだか子どもたちの絵をみてうれしくなったのでした。
 そして最後にHK君の絵。真ん中に大きな太陽。その下の水平線が引かれる広い海にはサバニに乗ったひとりの海人。海人はひとりでもくもくと漁をしているというものでした。そしてこの子のパパのことを聴いてびっくり。この子の父さんは、地域のリーダー的人物というんですね。「ひとり黙々と働くのはパパの姿かもしれませんね」と僕はT君とH君のパパに。「そういえばこの絵は、そんなふうにも見えますね」と大笑い。
 この僕とT君とH君のパパの話は確かに妄想に過ぎないかも知れませんが、なぜか子どもたちが毎日生きている生活を絵という「言葉」で表わしているようにおもえてなりませんでした。考えてみれが「絵」が子どもたちの伝えているもうひとつの第2の言葉とすれば、これほど素晴らしい伝達方法はないのかも知れませんね。
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      この絵は記事内容と関係ありません。去年の子どもたちの作品から。