投稿日時:2013年05月18日(土) 16:44
南島シリーズ
アカラギャラリーにて「南島」シリーズを公開しています。トークイベントやボクネン美術館へお越しのみなさまは、ぜひこちらもあわせてお楽しみ下さい。下記は、當山館長による作品紹介です。
【南島シリーズとは、1980年代初期から中期にかけてボクネンが従来の絵筆を使ったイラストやペン画などの技法から進化させた作品群のことで、終始一貫モノクロームで表現されている。カード状にした「じゅうたん」の切れ端の表面をぺたぺたと押し、波間や草むらの不思議な模様を効果的に出している技法が興味深い。モノクロームの写真イメージに近づけつつ、「陰影」の深みを追求しているのがこのシリーズだ。
全体に「深い影」をつくりだすことによって、逆説的に「亜熱帯のうだるような白い闇」を浮きたたせる効果を出しているのも注目したい。亜熱帯の目も眩むような「白い闇」を表現したいがために、「黒」をモチーフに使ったということも言えるだろう。「沖縄の民家」「屋根獅子」「熱帯樹」などの南島の風景が「白い闇」によって空気感を与えられているのである。
約30年前に描かれたこれらこれらの作品たち(全66点)が「セリグラフィー(シルクスクリーン):刷師<宮城幸男氏>」によって、よみがえったことも新たな魅力を放っている。インクによる立体感や陰影の生身感が迫って来る作品たちである。】