投稿日時:2010年09月13日(月) 16:41
風の島から Episode 2
今年も盛り上がった「うんなー」
ボクネンを取り巻く仲間たちを紹介する「ボクネンが往く」。今日は、「ウンナー」で待ち構えていた地謡(ジウテー)青年たち。「兄貴、待ってたよ」
写真は、今年7月26日に行われた「うんなー」(伊是名島で毎年おこなわれる豊年祭)での「歌垣」の場面。だいぶ夜も更けているようだが、写真でサンシンを弾いている青年は、まだまだ爆発までもいかないという表情しきり。左隣のボクネンは、これまたこれから船出というような面構え。
さて、『ボクネンが往く』だ。
今回は、この放心状態でサンシンを弾く青年との再会の話。青年はもう長い間この「うんなー」で、サンシン弾きのボクネンを見つめ続けてきた。
だから、その「うんなー」でサンシンを弾く大人たちは、子どもたちにとって最高のスター。この人たちのことを地謡(ジウテー)と呼ぶが、このジウテーのスーパースターが、ボクネンなのだ。
この青年、長いあいだサンシンの練習を重ね、努力して、晴れてこの数年のあいだにジウテーの舞台に立ち始めたのだ。それも、今回は憧れのスーパースターのボクネンと競演できるとあって、もう興奮気味。朦朧とした表情を隠せないのは仕方がないのだ。去年の「ウンナー」は、ボクネンも諸事情で伊是名島に渡れず、青年もがっかり。晴れて、この度の師との競演デビューとなったわけだ。
さて、このジウテー。単なるサンシン弾きではない。まさに、格闘技ともいうべき過激な仕事に耐えなけなければならない。まつり本番前の休憩時間に弾き、まつりが始まればミチジュネー(村の拝所、ゆかりある家でのあやかり)で、深夜まで数十キロと部落内を練り歩きながら、サンシンを引き続ける。さらに、ウンナーの本番である綱引きが終わったら懇親会が始まるのだが、これまた朝方まで弾き続ける。つまりこのジウテー、全時間を合わせて8時間ほどサンシンを弾くのであるが、途中まず休むことは許されない。村のみんなが、あれほど幸せそうな表情をしているのを止めるのはまずできない。
これで、おわかりだろう。写真の青年がジウテーにこだわり、ボクネンを師とあおぐ理由が。