投稿日時:2016年02月22日(月) 14:49
ギャラリー散歩
昨日(2月21日)、BSテレビで「巨匠たちの輝き」〜歴史を創った芸術家たち〜という番組を興味深く観た。番組はアーティスト日比野克彦がホストを務めるもの。その日はオーストラリアの先住民「アボリジーニ」が2万年前に岩に描いたという絵を通して、「ひとはなぜ絵を描くのか」というテーマのもとに番組が進行した。構成としては、日比野の好奇心の赴くがままに番組が進行していくものであった。
日比野はこれらの壁画をみて、雨期の厳しさや時間の止まったような自然界における環境の落差が、彼らを絵に向かわしたのではないかと最初は言う。そして、アボリジーニの子孫で現在も活躍している画家の話で、その古代壁画が子どもたちへの言い伝えの教育材料にもなっていることも知る。さらに、日比野はその壁画の内容のほとんどが多彩な「妖精」たちを描いているという古代人たちの想像力にも感心する。それと、絵はどんなに時間が経過しても、人間の描く気持は大昔も今も変わらないのではないかと感想をもらす。しかし、見たもの感じたものを素直に描くという面では、現代人の方が古代人よりもやらなくなってるのではないかとも。
結局、精霊の絵に感心した日比野は、絵描きというものは「見えないものを描く」ということが課されているのではないかと、自問自答するところで番組は終わる。そう言えば、ボクネンの『万象連鎖』シリーズも「見えないものを描く」ということが作品の根底にあるものだ。こうなると、ボクネンも2万年前のアボリジーニもまったく同じ視点のなかで「絵描き」をしているということになるだろう。