立ち読み『風のはなし』2

 ボクネン本『風のはなし』〜「節気慈風を語る」〜から立ち読み風に少しずつ内容を紹介しています。今回は「立春」のページです。

 

まずは、「立春」から始まります。

 二月四日頃。旧暦では、一月の始めなのです。

 「春が立つ」とはいいましても、いまが一番寒い時。「マニシ(真北風)」が、小雨まじりで吹こうものなら、それはもうかじかんでしまいます。それでも野山には、まるで寒さを楽しむようにツワブキが群れて、鮮やかな黄色の花を咲かせているのです。そのツワブキは冬の野山を代表する香りを放つのですが、野良帰りの「オバー(老女)」には、いま、それを楽しむ余裕がありません。掘り起した笊(ざる)いっぱいの芋が重いのです。

 

 「マニシ」は、北寄りの強い季節風で、寒波を引き連れて叫ぶように吹き走ってくるのです。

 この時季に、台湾の北の海上に出自(しゅつじ)をもつ風の暴れん坊が、いわゆる「タイワンボージ(台湾坊主)」ですよ。生まれたかと思うと、いきなり台風並みに発達して、日本列島の南寄りをかけ登ってゆくんです。生活の場を海にする人々を畏(おそ)れさせて自若(じじゃく)にしているのですよ。

 

 「雨水」は、二月十九日頃。旧暦では一月の中旬。

 大地が目覚め潤(うるお)い始めると、なによりうれしい草木の芽吹きです。若松の新芽は、まるで中指を立てるようにして空を指します。そうなると、もうヤンバルのとある辺りでは、どこからともなく梅の香りがしてきます。当然、ウグイスも近くに居ますから、定番の情景がそこでも見れるという具合です。

 しかしそうはいっても、季節風の「マニシ」による時化(しけ)と同時に低気圧や前線などが頻繁(ひんぱん)におきて、やはり「乱の風」の様相を呈するのです。

 アリュシャンに向けて出発したい鯨の親子も、いま少しお預けをして、島の回りでくつろぐのです。

 

作家は島の風景を彩る自然たちの動きを優しい目で見つめています。その自然に寄り添う村人たちも生き生きとしてますね。ここでは、自然も人間もみんな丸ごと一緒。作家の高らかな自然観がよく伝わってきます。<當山>(『風のはなし』のお求めは、下記アカラギャラリーまで)

 

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