子供の絵。

 7月18日(木)より、美術館で夏の展示会Vol.27、『記憶の海』〜生命のふるさと〜が始まりました。

光り輝く海の魅力をぞんぶんに見ていただける41点です。夏休みに入った子供たちと一緒に、足を運んでみてはいかがでしょう。

さて“子供たち”が出たところで、この展示会作品でその“子供たち”に通ずる作品をひとつ紹介しましょう。

ピカソも「子供の絵が描きたい」と言っていましたが、画家が「子供のような絵を描く」というのは大変なことばかりでなく、ひとつの究極の目標とも言えましょう。

今回の展示会で、その子供の絵を描き切ったとおもわれるのが、『珊瑚花畑四十九「隠坊」』(かくれんぼう)だとおもいます。

画面いっぱいに描かれた海の仲間たち、ここには喜びにあふれた生き物たちが生き生きと描かれています。まるで屈託のない“子供たち”が我を忘れて懸命に描いたようなおもいがあります。

そうは言っても、やはりこの作品は大人が描いたものであり、実際は子供の絵ではありません。

ボクネンは可能な限り子供の感性に近づいて、大人なりの“子供の絵”を描いたことになります。子供の絵を描きたい作家は、懸命になって子供になりきって、絵を仕上げるしかありません。

優れた絵というのは、おもいが発露したものでしょう。子供の“おもいの発露”は並大抵ではありませんから、大人が子供の絵を描くというのは尋常なことではありません。

ボクネンも必死になって子供になり切らなければ、この作品は生まれなかったことでしょう。

<當山>

 

(掲載作品『珊瑚花畑四十九「隠坊」』1991年)