投稿日時:2017年10月02日(月) 17:38

ボクネン・インタビュー

⚪︎きょうは〝言葉″について話を聞きます。

音楽家は言葉を与えるとメロディーを浮かべ、画家も言葉を聞かせると絵が生まれるということがあるとおもう。

あなたが生まれた伊是名島は、まさに味わい深い言葉の宝庫です。ボクネン作品も、そこから大きな発想を得ていると思います。

ボクネン 共同体で使われる言葉は、挨拶にしても簡単には終わらない。例えば、伊是名には「ホーイ!」という呼びかけの挨拶があるけれども、「元気か?」というのと一緒に〝相手を愛おしい″とおもう気持ちも含んでいるんだね。

挨拶ひとつにしても、ただでは済まさないところが共同体っていうところの特徴かも知れないな。あっははは、おもしろいね。確かに。

⚪︎言葉は文化であり、生活であり、人間であるって感じがしますね。やはりボクネンの絵は、島に宿っていた言葉を吸収して作品にしているというところがあるとおもう。

ちなみに島の女性たちは、陰茎も貝に見立てて名前をつけ、豪快に笑い飛ばしますよね。「あの貝は、とてもおいしい!」って大きな声で笑い合う。あれは、ぼくも一度島で聞いたことがあるけど、あの爽快感や開放感は、ほんとに感動したなぁ。言葉の持つ「迫力のある広がり」そのものだね。

ボクネン ああ、それはね。あなたの出身である金武(きん)にもあるでしょ? 例えば挨拶で言うと、あなたの愛称である「へいそう」という言葉も、掛け声的な意味なんだけど、目の前の相手への〝愛おしさ″が含まれてるよね。これは、田舎に行くと、どこにでもあるんだとおもう。素晴らしいよね。これは。

⚪言葉は投げつけられるものではなく、双方向の〝思いやり″や〝愛″だったりするんだね。

ボクネン 例えば、共同体では「ムノーカディー?」(ご飯は食べたか?)とか言って、それが挨拶になるわけだ。「どこに行くのか?」とか「最近どうしてる?」とか言って、こんなことも挨拶になるんだね。これが共同体の深さなんだとおもうよ。

⚪はぁ、なるほど。この共同体の言葉は、さっきも言ったように、ボクネン作品の「絵の力」にもなっているんじゃないかな。これは「言葉」が画家や音楽家における創作の大事なところでもあるとおもいます。

本日は、どうも。