投稿日時:2012年03月27日(火) 17:23

ばんばんニュース 第19号

 版版ニュース2

美術館でライブパフォーマンス

BY19

 今月の318日、日曜日。午後7時過ぎから約50分間。「ボクネン美術館」は緊張感と熱気に包まれました。なんとギャラリーを前にしての版画の初ライブパフォーマンスが行なわれたのです。もちろん、登場はボクネンです。

 「緊張感を味わいながら作品を彫るのも楽しみだなぁ」

 ボクネンはこのライブが決定してからは意外とうれしそう。しかしテレビやビデオ撮影でのライブはあるものの、観衆を集めてのライブは初体験。ボクネンと言えども次第に緊張感も高まっているようでした。

 さて、当日。会場にはひときわ張り詰めた静寂なムードが…。ボクネンは紹介されたのはいいものの版木の前にしばらく立ち尽くし、なんだか場がもてないようす。

 「いつもアトリエで隠れて彫っているので…」

 頭をかくボクネンに会場のみなさんにも笑い声が少しずつ聞こえてきました。

 それで和んだのでしょうか、おもむろに版木に当たりをつけ始めたボクネン。そして一気に彫り始めました。ときに指を斜め上に向けなにかを数えるよう。なんだか頭のなかの「絵」の配置を決めているふうです。ときどき聞こえる鼻歌ふうの唸りにもきこえる不思議な声。制作はかなりの早さなのですが、本人に言わせればいつものアトリエの制作台の上に載せる板と違ったことでうまく版木が回せなかったためにスピードは少し遅くなったと後で話していました。

 「いったん彫り始めれば、アトリエであろうが美術館であろうが関係ありません。ただ集中して彫り続けるだけですからね」

 というのは、これも作品を彫り終わったからあとに話してくれたこと。

 さて、ライブパフォーマンス。しばらくの沈黙のなかに聞こえる彫刻刀の版木を彫る音が「サッサッサッ」と会場に響きます。いよいよ版木への彫りが完成しました。しかし出来上がった版木を会場のみなさんに見てもらっても、描かれた内容が細か過ぎてなんだかさっぱりわからないようすです。そして刷りを終り着色へ。そしていよいよ作品が完成しました。ボクネンが会場で広げてみせると驚きの声が…。

 版木や刷りの段階でははっきりしなかった「緑門」の鮮やかな情景が目の前に表れたのです。

 「どうしてあのスピードで細かい虫や植物などが描かれたのか、不思議です。今日はとても感動しました」

 会場のみなさんが次々と感想を述べると、館内には興奮気味の拍手の渦が…。

 その後ギャラリーで懇談会の時間に移り、ファンは興奮冷めやらぬ「ボクネンワールド」の夜を堪能したようすでした。