投稿日時:2010年12月17日(金) 14:46

風の島から Episode 8

風の島からファサード2

  「スクガラス」(アイゴの稚魚の塩辛)をのせた島豆腐を、「コーレーグス」(唐辛子)を潰した練り状の表面になんどかこすりつけ、ペロリと口に入れてニコニコしている。このヒトは、間違いなくウチナーンチュ(沖縄人)だと思うのが、ごくふつうの常識だろう。しかし、このヒトは本土県人どころか、なんとオレゴン州から来た、生粋のアメリカ人なのである。とはいえ、30数年もまえに日本人の奥さんをもらい、日本語はそんじょそこらの日本人よりもうまいときてる。

 そのヒトは、某日本ローレックスの社長の「ベイリー」さん。最初に書いたスクガラスの話だけでなく、沖縄のことを隅から隅まで知ってるのだ。つまり、沖縄に深いのだ。ここで、ようやく【ボクネンが往く】の「エピソード8」に行き着くというわけ。

 このベイリーさん、数十年前にボクネンと会うや意気投合。文化、芸術、芸能など、多種多様な話題をむさぼるように時間を忘れて話すふたり。ボクネンの版画も、もう何年も前からファンちゅうのファン。ベイリーさんは、あまりに東京での経営業が忙しく、なかなか沖縄に顔を見せることはできないのだが、先日1213日の「ジャノス」の久々の再会に、ふたりとも子どものように大騒ぎ。これは、最初の写真を見てのとおりだ。

BY8

 このベイリーさん。去る8月には、歌舞伎界の至宝・坂東玉三郎さんを迎えた『海の玉三郎』と題した懇親会を開催したばかり。なかなかの名プロデューサーなのだ。そこで、ベイリーさんが玉三郎さんに版画をプレゼントするということを聞いて、ボクネンが作品裏にすかさずサインを書き入れた。ベイリーさんの笑顔も止まらない。

 それにしても、このベイリーさん。ただものではない。琉大の英文学教授とも懇意のなか。英語の詩を日本語に訳して、その教授にチェックしてもらうなど、文学欲も旺盛だ。

 今回、ベイリーさんは「アカラ」を初めて見て、目をまあるくして驚き、喜んだ。

「このアカラで、いろんなことをやりましょう」という声に、ボクネンも笑顔でうなずく。

 来年、ひょっとしたら『海の玉三郎』ならぬ『海のボクネン』クラスの創造性豊かなイベントが、あるかも知れない。名プロデューサー・ベイリーさんが、今後ボクネンとコラボして、とてつもないなにかをしでかしそうな気配だ。その日が、来るのが待ち遠しくてたまらない