• 2017-12-11 (月) 16:05
  • カテゴリー:ブログ

泡瀬第三自治会のみなさん、来館。

 気温27度。少し蒸し暑い。それでも強い風のせいでちょっぴり肌寒い11月の後半。

 25名もの紳士淑女で美術館を訪れてきてくれたのは“泡瀬第三自治会”のみなさん。にぎやかで和気あいあいとした雰囲気のなか、ふと崎山自治会長さんが私に近づいてきてこう言いました。

「こちらの喜屋武さんは、目も耳も不自由です。よろしくお願いします」

私は戸惑いながら、どんなふうに絵を鑑賞してもらえばいいのだろう、と少し不安。すると傍にいた通訳の運天さんがこう言うのです。

「喜屋武さんは雰囲気を感じることができます。先ほども海に行っても充分に風景を感じていましたよ」

ああ、そうか。手と雰囲気で作品を感じてもらえばいい。私は通訳の自然な対応に感心しながら、やる気が少し出てきました。

まずは、彫刻物(以前にボクネンが窯で焼いた作品たち)の『カイ・タマ』と『メ・タマ』を触ってもらいました。すると喜屋武さんは、通訳を介して次のように印象を言ってくれたのです。

<『メ・タマ』は眼の中の細かいイメージを感じます。そして『カイ・タマ』は、牛のイメージで角のようですね>

驚いたことに喜屋武さんの反応は、目で見る人たちの感想の言葉よりイメージを大きく広げているように思えました。

それから次は『ウガン支度』(2013年、上掲の版木写真を参照)の作品の前に立ち、額の上から作品をなぞっています。何度もうなずき何かを盛んに感じているようです。そして、『ウガン支度』の版木を直接触ってもらいました。すると、喜屋武さんはこう伝えたのです。

〈おもいを込めて丁寧に描いていますね〉

そして喜屋武さんは静かに笑みを浮かべました。これまで盲ろうの方に絵の鑑賞をしてもらったことはありません。まさに「指で見て、肌で感じる」鑑賞でした。

喜屋武さんが絵の鑑賞で喜ぶ周囲で、自治会の皆さんもみんな一緒に心から楽しんでいるようで、その日は最高の美術鑑賞会になりました。