投稿日時:2015年06月22日(月) 15:08

おしゃべりQ館長 その21

OQ表紙

 ひとは何気なしになにかを発見するときがある。発見というと大げさだが、じぶんなりに納得いったと言った方がいいかも知れない。今日のお題は、「絵はなにが特徴づけるか?」ということについて話してみたい。

 もちろんそのことにつていは、ずっと考えてもいたのだが、やはり決定的な(私的に)答えを出せずにいた。たとば、「小説はなにが特徴づけるか?」、つまり「言葉はなにが特徴づけるか?」と言い直してもいいのだが、これは以前から専門家に言われていたので、よく理解できていた。言わば、「言葉は<文体>によって特徴づけられる」ということである。そうすると、「絵」はなんによって決定づけられるか?という疑問は解決できないままでいたのである。

 そして、この疑問が私なりにある日、わかったのだ。インターネットで何気なく目を動かしていると、広告欄のところになんだか目を惹き付けている「絵」があった。拡大してみると、私はその絵を観てびっくりした。「なにが絵を特徴づけるか」という疑問が解けたような気がしたのである。

 その絵というのは、クロード・モネ(1840〜1926 フランス)の『プールヴィル、小麦畑の小道』という作品であった。絵は海に続く小道を描いているのだが、空の雲のタッチ、海の波のタッチ、草むらのタッチ、砂浜のタッチ、そして海岸のタッチ……、そうなんであった。このモネの絵は、タッチ、タッチ、タッチで絵が完成されていたのだ。ああっ……「言葉が文体で特徴づけられる」としたら「絵は絵の文体、つまり絵のタッチなんだな」と。私は、なんだか目からうるこが落ちるおもいで小躍りしたのであった。

 そのタッチを考えながらモネの『睡蓮』『モネの庭、アイリス』などを改めて観ると、実にタッチ重ねによって最高の作品を表現しているじゃないか…。そう考えると、ゴッホのタッチは真似もできなきほど骨太であるし、ルノアールにしても、マチスにしても、シャガールにしても、みんなタッチでできあがっているではないか。

 この私の話にいささか引き気味のひともあろうかとおもうが、私にすれば「絵の文体はタッチである」ということが私の<芸術性>理解に大いにヒントを与えてくれたのだ。さて、みなさん。「ボクネンのタッチ」を、ひとつの観賞法として観てみませんか。