投稿日時:2011年08月21日(日) 11:07
万想連鎖 13
ボクネン版画に思いを寄せる全国の通信員たちの「声」を届けます。トップバッターは、福岡県の那和慎二さん。その20年来のファンぶりは、作家や作品の機微にふれ、思わぬ情報がいっぱいです。それでは、那和さんの『万想連鎖』シリーズをごゆっくりどうぞ。
万想連鎖13 追っかけ
那和慎二(福岡通信員)
芸能人の”追っかけ”を、心のどこかで冷笑していた。若者ばかりではなく、ヨン様や宝塚などいい年の女性が。女性ばかりではなく、よく知らないが、AKB48を追っかけるオジサンも。よくやるなぁ。そう思っていたはずだが、それがどうだ。気がつけば、もう随分前からボクネンの追っかけをやっていた。
最初は、いつだっただろう。2004年のタオル美術館「風のエナジー」のときだったかもしれない。当時は大阪に住んでいたが、車がなかったので、JRの乗り継ぎとタクシーで、辺鄙なところにある会場にやっとの思いで辿り着いた。作家来場だけでなく、講演とTINGARAのライブまでセットになっていたので、距離も時間もものともせず、いそいそと出かけた。沖縄三越で初めてボクネンを見て以来、二度目のご対面である。対面といっても一方的なもので、そのときはボクネンさんには全く認知されていないはずである。会場には、ボクネングッズを身にまとったヘビーなボクネンファンが散見された。会場の入り口に並ぶ行列には、女性が多かったが男性も結構目に付いた。場違いな人間が来てしまったのではと少々焦りを感じていたとき、当時、京橋のギャラリーにおられた重富さんを見つけて、なんとなくホッとしたことを覚えている。講演の内容は忘れてしまったが、三線をひいて歌ったことはよく覚えてる。ボクネンさんは、壇上から歌うのが初めてと言われていたので、とんでもない幸運に恵まれたことになる。歌も三線も素人レベルを超えていて、”聴かせる”歌にみな酔い痴れていた。講演後、ボクネンさんにサインをいただき、TINGARAメンバー3人にもCDをもらったが、「ジャケット買い」であると見抜かれてしまった。動機は不純でも、だんだんTINGARAを好きになったのだから、結果良しである。追っかけはしてないけれど。
その後は、浦添市美術館「大自然の伝言を彫る」、東京の明治神宮「命の森」、京都の思文閣美術館「無限の庭」、すべて作家来場の日に合わせて見に行った。そのたびに、あの逞しい手で握手をしてもらっているのだから、もう立派な追っかけと言えるだろう。京橋と北谷のギャラリーでのサイン会にも何度か出かけて、そのときは短いながらお話もできた。そんなご縁で今がある。会うたびに「那覇の那、平和の和の那和です。」と言い、亀を助けて琉球への話も何度かしたと思う。多数のボクネンファンの中の一人として、誠に勝手な感想文の連作読んでいただけることを光栄に思う。
[ゲージュツカの昼寝]1997