• 2017-12-25 (月) 16:32
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「気分」から生まれた「ようなもの」。

 上に掲げた作品は『清らかな始まり』(2011年、48.0×47.0cm)です。いま開催中の『紋様展』でも観ることができます。この版画には白いグローブのような花が朝日の周辺を散りばめるように囲んでいます。ところが、これは花ではありません。花の「ようなもの」です。

 と言うのは作家のボクネンは「これは植物じゃないんだよ」と漏らしたことがあります。この作品で実際にはない「花のようなもの」が描かれたのですね。作家も「ほんとになんだろね?」と言うほどです。ここが制作のおもしろいところですが、では「どうしてこんなものが出て来たの?」と聞いてみると「気分がそうさせるんだよ」という答えでした。

 ところで、この「気分」ですが、ボクネンは絵を描くときというのは、この「気分」が昂(たか)まっている状態というのです。確か5、6年前に棟方志功の作品を模写して彫ったときも、「先生の気分を取り込んで彫りたい」と言っていました。

 これまで彫った2000点近い作品も本人はほとんど制作したことを忘れているというのですが、描いたときの「気分」を思い出すことで、作品の名前や絵が頭に浮かぶというのです。この「気分」こそ制作のエネルギーのようなものなんでしょうね。「気分」が実際にある「花」を、見たこともない「花のようなもの」にしてしまうのです。これは「花」以外のいろんな絵の対象物にも言えることでしょう。

 絵に表れた「ようなもの」が「気分」から生まれた作家の個性であり作品価値なのだとおもいます。