投稿日時:2016年11月07日(月) 16:13

はっとぅうぉい さぁゑっさ

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 伊是名村で旧暦6月に、毎年『ウンナー』という豊年祭が開催される。「道ジュネー」「拝所めぐり」「綱引き」「ガーエー」、そして「歌と踊りの遊び」で、夜を徹して行なわれるこの祭りは、迫力満天。

 その綱引きのなかで村人たちが「はっとぅうぉい さぁゑっさ」という掛声を叫びながら、気持ちを鼓舞させるのであるが、これが不思議なイントネーションと響きで祭りに参加するひとびとを一心一体にしていく。この「はっとぅうぉい さぁゑっさ」が、どんな意味のなのか、どこからきたのかというのを、伊是名のひとたちに聴いてみたことがあるのだが、みんな正確な意味は知らないという。

 しかしである。不思議なことに、みんな意味は知らないというのに魂を打ち震えさせられる言葉(掛声)なのである。この「意味が分からなくても心に響く」というのは、いったいどうしてだろう。これは、おそらくこの掛声が言葉になる前の言葉だからじゃないのだろうか。

 だからこそ、多くのひとの心に響く「掛声」なのだという気がしてならない。(上掲の作品は『UNNNAR』<1984>)