ボクネン公式ブログ「風の島から」/bokunens official blog wind island

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「〜風の島から〜」
この「あから島」には季節の風や花たちが舞い踊り、まつりのサンシンや囃子などが遠くから聴こえてきます。
そんな「しあわせ事件」や島を訪れるお客さんたちの「感動話題」などなど。あれこれ立ち話スタイルでお伝えします。

  • 2014年12月 1日

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突拍子のない話の続出で会場は笑いの渦。
〜アーティスト・トーク『未定不調和』〜

 去る11月22日、ボクネン美術館で午後4時半よりアーティスト・トーク「未定不調和」が開催されました。ボクネンの今回のお相手は、NHKアナウンサーの大野克郎さん。大野さんと言えば、総合テレビの「インタビューここから」(5月放映)で、ボクネンを取り上げたディレクター。ボクネンにはかなりの興味を抱いている美術好きなジャーナリストです。
 今回も「予定調和の放送界」ではできない対談をやりたいと、満を持して登場。いわゆる、いつもの放送界の聞くだけの立場というのではなく、「食い下がるくらいの気持ちで今日はやってきたんですよ」と、本番前はボルテージがかなりあがっているようでした。
 そしていよいよ本番。イベント進行もトークのテーマである「未定不調和」に合わせたプログラムということで、大きな瓶に入れられたいくつかの「織られた紙」をクジ風に取り出し、それがお題になってふたりのトークが繰り広げらるといった趣向。

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 会場では、トークのお題が「ピンチ」「お金」「苦手なもの」などの突拍子のないお題が飛び出し、ふたりともアタフタするも、やっぱり真面目なふたりは真剣に対応。その「未定不調和」のお題にしっかりおしゃべりを展開していました。その内容も突拍子もないお題だけに、いろんな思わぬ逸話がいくつも続出。会場のみなさんも、大笑い。これまでにない楽しいトークイベントになりました。
 さて、このトーク、良かったには良かったんですが...。最後のボクネンのひとことが、なんだか「宿題」を残したような気がしたのは、館長の僕だけだったのでしょうか。
 つまりボクネンは、ふとこう言ったのです。
 「話の内容は、まとめようまとめようとして『予定調和』になっちゃったね」
 そうなんです。プログラムの進行は『未定不調和』でしたが、内容そのものは『予定調和』だったのです。もちろん、トーク自体が『未定不調和』であったら、観客はとまどいアーティストたちに置き去りにされることもあり得ます。これは要注意です。
 でもぼくはおもったのです。
 アーティストだからこそ、内容も「未定不調和」でいってほしかったのです。おそらくそこには、ボクネンの個人資質がベールを脱ぐのではないかという事件に遭遇するかも知れなかったのです。でもそれは、ちょっとむつかしいことがまだまだありそうですから、これからのイベントの課題として、なんとか挑戦していきたいなぁとおもいました。
 つまり、イベントが終わって帰っていく観客にこんなふうに言ってもらえたら、いいんじゃないかと...。
 「今日の話は、いまいち意味がわかりにくかったけど、なんどもドキドキしたなぁ」

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PS イベント終了後のサイン会もご来場のみなさんありがとうございました。

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  • 2014年11月21日

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新しい展示会が今日から始まりました。
〜『心のゆくえ』万象連鎖シリーズⅡ〜

 本日21日より、展示替えです。2013年の「万象連鎖シリーズⅠ」に続くものです。いわゆる作家が「繋ぎ絵」と称している作品群です。今回は、作品No.80からNo.156までの77点の紹介。
 さて、今回は去年と違う点があります。これは美術館スタッフがみんなでかんがえたものですが、おそらくこういった展示法は世界でも初めてではないかとおもっています。つまり、作品に裏から光をあてて、観賞するスタイルになっています。これは今日訪れた客さんもさすがにびっくりなされたようで、こんごいろいろな感想がでてくるはずです。
 さてこの裏手彩色ならぬ、裏手採光の真意はどこにあるのでしょうか。ちょっと話してみます。
 元来、私め館長は絵画に「こころ」とか「精神」とかが宿っているなんてことは信じていません。そもそも絵は「もの」である月桃紙、パステル、額を総合して、なりたっているものとおもわれます。絵に「こころ」とか「精神」が宿っているのはでなく、それは「人間」のなかにこそあるのです。それすると、絵は「そんなものか」と言うかたもいるとおもいますが、またそうでもないのです。
 つまり、絵は「人間」をこころの世界に導いていく「スイッチ」や「のりもの」のようだだとおもわれます。絵は観るものをそれぞれに特別な場所に連れて行ってくれるでしょう。簡単に言えば、星や月をみて亡くなったひとのことをおもいだすことがありますが、絵はその「月」や「星」のようなものでしょう。
 さて、そうすると「スイッチ」は絵のどこにあるのか。いわずもがな、絵をなりたたせている、たくさんの素材にほかなりません。鋭い腺、やんわりとした色、不規則な空間のとりかた、などなどそのようなたくさんの素材こそが「スイッチ」なのではないでしようか。
 もちろん、その「スイッチ」はひとによってすべて違います。ひとつとしておなじ「スイッチ」はないでしょう。100万の人間がいれば1000万だけの「スイッチ」が、ひとつの絵にあるとおもわれます。
 ここで優れた作品とはなにかという答えが導かれていくでしょう。いわば、ひとつの「スイッチ」でたくさんの「観るもののおもい」が多ければ多いほど、優れた作品と言えるのではないでしょうか。
 さて、一等最初の質問に戻りましょう。なぜ「裏手採光」を導入したのかということの答えです。
 言ってしまえば「裏手採光」は、光をあてることによって、光をあててないときの作品に隠れている「スイッチ」が見えてこないかという期待です。「感想」が多ければ多いほど素晴らしい作品になっていくとすれば、私たちは「裏手採光」によってもっともっとボクネン作品の「スイッチ」を探すことができるでしょう。

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  • 2014年11月11日

万想連鎖33 この半年
那和 慎二(大阪通信員)

 半年間と言えば、身体の細胞はほとんど入れ替わってしまい、物質としては別物になってしまうほどの時間。ぼーっとしていたわけではないが、トイレ美術館のカレンダーは次々とめくられて、もう残すところ2枚だ。今年も、もう年末が見えてきた。想いを巡らせることはあったが、言葉に起こさないまま、気が付いたら半年も経っていた。

 緑が美しい季節だったから、様々な場所を訪れて、そこに緑門が現れるたびに、BOKUNENの世界が立ち上がる。もっとも、そのイメージを留めるのは、せいぜい写真を撮るしか芸がない。眼から脳に刻み込む記憶が鮮やかであれば写真もいらないが、その記憶が明け方に見る夢のように、まるで当てにならない。記憶もろとも感動まで消えやすくなっている。

 夏は、こちらの百貨店の催事場で沖縄物産展が開かれる季節。今年はついに沖縄に行けない年になりそうで、懐かしい沖縄の匂いを求めて、あちらこちらと4回も沖縄物産展に足を運んでしまった。何が欲しい、何が食べたいわけではないので、三線の音やサータアンダギーやチキアギを揚げる匂い、泡盛古酒やサンニンの香りが混ざり合う会場の雰囲気に浸って、渇きを癒したら会場を後にした。ボクネン柄のかりゆしを着て行ったが、残念ながら、同好の人に会うことはなかった。

 今秋は、ボクネン作品「さきよだの神歌」をイメージに使う熊本での沖縄音楽イベント「琉球の風」が来春に延期された。東京・大阪で開催される琉球フェスティバルとの日程が調整できなかったようだが、幸い、今は大阪在住の身。妻とともに6時間に及ぶ沖縄音楽を堪能した。とりを務めたりんけんバンドが盛り上げるだけ盛り上げた上に、最後は出演者全員が集合したステージに観客が押し寄せて、もちろん私たちもその中に混じって、お決まりの唐船ドーイで最高潮に達した。妻はどさくさ紛れに新良幸人のあの頭に手を伸ばして撫でた。沖縄と遠く離れていても、沖縄出身のアーティストたちが運んできた沖縄の風の中で、熱く温かく幸せな時間を過ごすことができた。

 ときどき自宅から歩いて行く日本一長い天神橋筋商店街。そこにも、沖縄物産の店が2軒ある。ふらりと寄ったその店で、「モモトVol.19名嘉睦稔 技と術」をたまたま手にすることができた。ボクネン美術館からは新しいボクネン展の葉書が届いた。いつでもオフィシャルサイトへ行けば空白を埋めることもできる。そうそう、忘れないうちに、来年のカレンダーを注文するとしよう。おっと、すでにサイン入り予約は受け付け終了となっていたが、欲張ることはない。物質として入れ替わったこの身体にも、朧ながらもBOKUNENの記憶は刻まれ続け、日々積っていく。

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  • 2014年11月 4日

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   【第26回】ボクネン作品『万象連鎖八拾参 繁殖する光』
   [1999年 46.0×46.0(cm)]『版画藝術』2014年冬 166号

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                    闇の傷。

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  • 2014年10月27日

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絵はじぶんとじぶんを会話させるもの。
〜やってきたよボクネン美術館〜

 私たち美術館のスタッフは、絵を解釈することなどとうていできないことだとおもっている。たとえばマルセル・デュシャンというアーティストは「作品を説明したり称賛したりするのに役立つようないかなる言葉といえども、感覚を越えて生気するものの誤った翻訳なのだ」と言い切っている。たしかにそうだとおもう。
 「感覚を越えて生気するもの」を大事にしなければ絵を理解するなどあきらめたほうがいいのだろう。だから私たちは、その「感覚を越えて生気するもの」のヒントになるものを受け取るためにいつも来館した鑑賞者からの意見を勉強のいしずえにしている。
 さてここでそのヒントをぞんぶんにプレゼントしてくれた最近の来館者たちを紹介しよう。
 10月21日の11時30分。来館してくれたのは社会福祉法人蒼生の会(自閉症相談支援センター)の5人。年齢は10代後半から20代前半の若者たちだ。
 私はその日、美術にかんしてとても啓蒙され勉強になった。
 まず、髪のながい女の子(A子さん)。
 彼女は美術館に入るやいなや、走り出したのである。もちろん美術館の内装や作品をみながら...。愉しそうに大きな声をだし、あたりをを走り続けている。
 私:「先生、どうしてA子さんは、あんなにはしゃいでいるのですか?」
 すると引率の先生がこうこたえてくれた。
 引率の先生:「A子さんは愉しくなると、いつもああいうふうに走りまわるんですよ」
 私は声をつまらせた。
 絵を受け取る、楽しむ、理解するとはこういうことなのかも知れないと...。いつも文字で絵を解釈する私などひとこともなかった。つまり絵を受け取るのは他人とのコミュニケーションではなく、鑑賞者自身がじぶんで喜び、じぶんで悲しむことなのではないだろうか。
 さて次は男子。彼はただだまって、ほぼ40分ほど『大礁円環』の前のベンチにすわり、まんじりとひとこともしゃべらず、ただただその作品の前でみつめていばかりいたのである。
 絵はほんとに見るひとのためにあるのであり、「見ること」はじぶんと話すことであり、それは人間にとって大きな根っこの部分なんだと...。
 バスを何種類も正確に描く男子もいた。それも外から見たバスの絵。先生から聞くと、そうとう精確に描くという。
 赤が好きだという女の子は、目の前にある作品には「赤」が描かれてないのに、その作品をみつめながら「赤が好き」と何度も繰り返す。
 すると引率の先生はこう言う。
「その作品のなかに赤が隠れているのかも知れませんね」
 と笑った。
 こんなふうに蒼生の会のみんなは、おもいおもいにボクネン美術館を堪能してくれた。ほんとに「堪能」してくれたのだった。
 それから、みんなはまた来館を約束して、ワゴンに乗り込み去っていった。
 美術が言葉ではなく「感覚を越えて生気するもの」でなりたっていることがよくわかった一日であった。
 蒼生の会のみなさん、どうもありがとうございました。

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          『大礁円環』を前に「蒼生の会」のみなさんが記念撮影

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  • 2014年10月17日

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おとな顔まけの鑑賞眼。
〜やってきたよボクネン美術館〜

 先回のアミークス少年少女の美術館来訪の第2回目。今回も約30名ちょっと。先回の記事を読んでない方に少し解説。アミークスというのは、うるま市にある学校法人アミークス国際学園のこと。中学3年生までを終始一貫して英語で授業をする。国際人を育てるための教育機関だ。
 先回の10月16日に続いて17日に行なわれた課外授業もここで紹介する。その授業とは生徒たちが版画に挑戦するべく、ボクネン美術館を訪れたのだ。もちろんみんなには月桃紙を使ってもらい、裏手彩色で色も塗ってもらう。
 さて、その日は昼食を午前11時までにすませ、11時半には美術館に到着。それから下絵をするために3時間も美術館で作業をこなした。おかげで私は昼食時間が3時過ぎに食い込みかなりのはらぺこ状態だったのだが...。

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 とにもかくにも今回の子どもたちもまたみなユニークだった。先回の『大礁円環』のまえで長時間構想を練る子どもや、阪神タイガーズファンの子どもたちなど話題にことかかなかったが、この2回目もそれにおとらずおもしろさ抜群だった。
 まず、ひとりめ。ボクネン作品の『珊瑚花畑四十五「来訪」』にいたく感激して、その前から離れない生徒(下の写真参照)がいた。この作品はおおよそが金色と黒で描かれた「黄金色と陰」がきわだつ渋い作品。いわゆる沈む夕日を背景に鳥たちが飛んでいく構図だ。旅情性というか詩情性にあふれた大人っぽい情緒豊かな作品なのだ。ところが、この生徒。にわかに作品の魅力を語り始めたのだ。「鳥が空を飛び立っているところと、バックの金色が好きです」と感想。いやはや、ボクネン作品の深みをしっかりと感じてくれたこの少年にほんとに感心した。

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 さて次は、女の子だ。私が魚の群れが同じ方向に描かれている女の子の絵をみて、「この魚たちはみんなでなにかを求めて一緒に泳いでいるんでしょ?いいことでもあるのかな?」というと、サラちゃん(その子の名前)は不満げにこう述べたのである。「おじちゃん違うよ。この小魚たちはさばかなんかの大きな魚に追われているところだよ。食べられたらたいへんだからね」ときた。私はまいったと言うしかなかった。
 つまりはサラちゃんの方が私などよりずっと海を理解していたのだ。サラちゃんは「海の恐さ」をよく知っていて、しかも生物の捕食(食べる)と被食(食べられる)という食物連鎖を基本的に理解しているようにおもえた。

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 ほかにもいろんな絵があったが、ここではもう省かせてもらう。12月に沖縄アミークスで展示会を予定しているので、興味のある方は足を運んだらどうだろうか。
 さて、こんなふうに美術館での版画体験授業も2回目が終了。みんな丁寧なお礼を述べてスクールバスに乗り込んで行った。次は学校に帰って彫りと彩色に入る。
 ところで美術館での模写中、かわりばんこに来てわたしに聞くのが、「ボクネンさんは、今日は来ないの」という質問。授業前にボクネンのビデオを見てファンになっていた子どもたちがかなりいたのだ。私が忙しくて来れないけれど、ひょっとしたら学校に展示会に行くかもしれないよというと、みんな大喜び。先生のボルトンあゆみさんも「それじゃ、みんな心を込めて完成させなくちゃ〜ね」とエールを送った。

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  • 2014年10月16日

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「じぶんで考えるひとになろう」
〜やってきたよボクネン美術館〜

 昨日の10月16日。台風もなんとほんわかおてんとさま。そんなグッドデイのボクネン美術館に30名余りのBoys & Girlsがやってきた。彼らはうるま市栄野比にある学校法人アミークス学校法人の子どもたち。今回来てくれたのは4年生たち。実は今日も同人数ほどのおともだちがやってくることになっている。
 アミークスと言えばご存知のかたも多いとおもうが、中学3年まで一環して教育を行なうシステム。生徒も先生も一緒に10年間家族のようにふれあうのだ。国際的に自立したこどもたちに育ってもらおうという授業はすべて英語。彼らをみて感じたことだが、そのものおじしない自然体の態度がとても印象深かった。アミークスの教育理念には「宗教をくみせず、民族文化の違いを強調しない」というコンセプトがある。子どもたちは事実と向き合い、考えることをことを目標にしているというのだ。確かにいまの世界は宗教や経済を扮装の種にしてまとまりがつかない状態。アミークスの教育理念にはこれからの世界に大事なヒントがあるとおもった。

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 さて前置きが長くなった。すみません。そもそも生徒たちが美術館にやってきたのは、課外授業で木版画に挑戦するため。ボクネンの作品に直にふれ、じぶんの感覚に置き直し独自の発想で作品をつくろうというものだ。
 時間は11時半から2時半までの3時間のけっこう長丁場。それでもみんな最後まで粘り強く下描きに懸命だった。ある男の子は『大礁円環』をいろんな角度から見つめ、ときには作品に向かって距離を置いて手をかかげ比率を計算しているような念入りな下準備。時間はどんどん過ぎて行く。私も心配になってようすをうかがうのだが、いっこうに絵を描き始めない。
 そして最後になってその子が「できたよ!」と言って私に見せてくれた。すると、仰天。紙の裏表に描かれていたのを見せながら「表のこれが朝日、裏は夕日だよ」ときた。この子は長い間『大礁円環』を観察し結局「朝日と夕日」を描いたのだった。この子にとっては『大礁円環』と『朝日と夕日』はつながっているのだろう。まさに筋書きのないドラマ...。

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 さてその筋書きのないドラマと言えば野球。ある二人の少年が描いたいたのが「野球場」。ふたりはこよなく野球を愛する阪神ファン。「ところで、どうして海がテーマの展示場なのに球場なの?」と私。するとすかさず「これはマリナーベースボールミュージアムさ」ときた。確かによくみると、球場の周囲にはたくさんの魚が泳いでいる。「この球場は海のなかにあるんだよ」...。これも私の脆弱な発想ではまったくおいつかなかった。ただただ彼らの発送のユニークさに脱帽状態。
 そのほか超芸術の作品の数々にも多々驚かされた。アミークスの教育理念が「個性的な自立」ということを考えると、日本という国の「型にはまった学歴人間」をつくる学校社会に一石を投じそうだ。さて今日は二日目。どんな絵が飛び出してくるんだろう。

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  • 2014年9月29日

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アーティストには、3人のじぶんがいる。
HEARTIST TALK 8  talk with 名嘉睦稔
 
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 先週の9月27日、土曜日の夕方。美術館は100名余りの美術ファンが集まり、なにやら笑いと拍手の渦となりました。開演4時半からの約2時間あまり。トークショーもあっというまに終わってしまったというお盛り上がりなのでした。
 さて、この催し。いつものボクネン美術館の主催ではありません。天描画家大城清太さんが主催する「ハーティスト・トーク」。大城さんが毎回ゲストを招いて「ハーティスト」な話を繰り広げようというものです。それで大城さんのかつての希望で、ボクネンさんを!というこことになったのです。
 大城さんは以前から画家と人間の両方のボクネンに興味をもち、いろんな聞きたいことがいっぱいあるということなのです。実は二人の話は2010年10月にも浦添市美術館でありました。これが二人の感性がぴたっとあって、かなりの好評を博したのです。大城さんも、そのイベントにこりず、まだまだ聞きたいことがあるということで、この「ハーティスト・トーク」とあいなったです。
 さて、このイベント。進行を務めるのはFM沖縄の西向幸三さん。ボクネンと大城さんは、先回のイベントでもおしゃべり好きであることは折り紙つきなのですが、これにギャラクシー賞受賞の熱も冷めやらぬ西向さんが加わったものですから、もう舞台は大混戦状態。それに大城さんは尊敬するアーティストへの質問とあって緊張の連続。それでもさうが大城さん、そんななか笑いもとるなど、絶好調。
 ちなみに、大城さんはかつてボクネンとの会話でショックを受けた逸話を披露。「ぼくは点描に命をかけています」と緊張気味にボクネンに言ったら、ボクネンのひとことにノックアウトされたと笑う。そのひとこととは、「じゃあ、その点描がなくなったら、きみ、どうするの?」。そのとき大城さんは、もうあたふたするしかなかったと言うのです。
 それでも、ボクネンはどんな状況にあっても、絵を描くという姿勢が大事だと言うことを聞いて、大城さんも納得したようす。
 さて、このハーティスト・トークのコンセプですが、ハーティストとは好きなことに命をかけて生きるもの、そしてさまざまな分野で活躍しているひととのこと。そこで今度はボクネンがいたずらっ気を出して西向さんに、そのマシンガン級のしゃべり技に質問を浴びせました。
 「幸三さん、あの驚異的なしゃべりは、どこから生まれるの?」。幸三さんも「じぶんのことはいいじゃないですか」といいながらもそれとなく話に乗り出しました。「実は話しているあいだじゅうに、ぼくの周囲には3人のじぶんがいるんです」。これを聞いたボクネンと大城さんは一瞬、沈黙。さすがギャラクシー賞と言わんばかり。静かに次の言葉を待った。
 「彼らがしゃべりの内容や方向性やまとまりなどをチェックするのです」。これには、さすがのボクネンも真顔で対応。そしてすかさずアーティストらしく、「それはおもしろいですね。まるで版画を彫るときと同じだなぁ」。大城さんも、ボクネンの言うことに納得。
 このあと、ボクネンに「経営者と作家」の両立のこと「なぜ作品を彫るのか」という興味深い質問などが西向さんと大城さんから矢継ぎ早。ボクネンも「経営者と作家はなにも違うことはない。同じことです」、そして「作品を彫るのはこの世が驚愕だから」と答えました。
 そしてインタビューが一段落ついたあと、大城さんがみずからの作品や新作をビデオに写して紹介。作品へのおもいやテーマ、おばぁちゃんから教わった大事なことなどを話してくれました。さいごにボクネンの歌三線も登場。ますます、大盛り上がりの舞台となりました。
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左から西向幸三さん、ボクネン、大城清太さん

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  • 2014年9月16日

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 昨日の15日、敬老の日なのになぜか「リトルジャノス」は女子大生でいっぱい。彼女たちの目当ては、ボクネン美術館の見学後、ボクネンに質問をするために集結したのだ。そう、れっきとした「授業」なのである。彼女たちは東京五反田にある清泉女子大のインテレクチアルガールたち。専攻も言語文化だ。総勢21名とあって引率の佐藤武壮先生も沖縄の太陽のもと汗をふきふきのコーディネイト。ちなみにこのプチ講演会みたいな催しは美術館でも初めて。ギャラリースタッフもリズムがいまいちつかめず少しだけなりゆきまかせ。しかしである。このミニ授業、館長の独断なのだが、ぼくが30年以上のボクネンとの付き合いのなかで最高の「講演会」だったとおもう。ほかにシンポジウムやトークイベントなどもあったのだが、この清泉女子大の「純粋さ」にかなわなかった。

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 その理由を次にあげよう。確かに最初は20歳から21歳までの「東京ガール」たちだから、それなりに「美術はわからない」に終始して授業は閉会となるはずだった。ところがである。ボクネンのいつもの20分ほどの遅刻で「リトルジャノス」からさっそうと現れると、まず「拍手」の渦。さて、佐藤先生が美術館で見学した作品の感想を聴くのだが、みんな借りてきた猫のよう。しかたなく、ボクネンが珊瑚のこと、沖縄の文化のことなどを少し始めるとさすがに、ひとりの生徒が質問した。ところが、この学生、感激した「大礁円環」のことを話し始めると、感極まって泣き出したのであ。これにはボクネンもかすかにもらい泣き。
 この生徒によると、最初にボクネンを目にしたとき、作品「大礁円環」の美しいい海に景色とだぶって感激したらしいのだ。そして、2番目の学生が質問するとその内容にみながシーン...。「最近おばぁちゃんの死を考えたりして、じぶんも死を受け入れるのに悩んでいる」という。この学生もなぜか話しながら涙が...。
 この質問にはボクネンが「野辺の送り」の経験談や、沖縄のひとたちはかつて死んで3年後には腐れた肉をとり払い洗骨をする習慣があったことなどの話をすると、いつのまにか質問者の涙も止まり、そのほかの学生も沈黙。
 最後に一等最初に質問した学生が「美しい海もわかりますが、どうして汚い海は欠かないのですか?」という豪速球の質問に、ボクネンも苦笑。ボクネンが自分はテーマにそった描きかたはなぜかできない。頭に降りてくる画想の順番にそってしか描けないというと、みんな静かに頷いた。
 結局、予定の90分を越えたなんだか忘れがたい授業になったよう。佐藤先生もかなり満足げで、ボクネンもスタッフもほっと胸をなでおろした。授業のあとは、美術館で記念撮影。そしていつのまにか、授業最初の「借りてきた猫」だったみんなは「笑顔満開の猫」になっていた。
 
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  • 2014年8月25日

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 ただいま「BangBang」10号を発売中です。売れ冊数が少ないことで「ばんばん」ではなく「ちょこちょ」こだろう? というのはあるスタッフのひやかし。確かにそうなんです。今号も4冊くらいかな、売れたのは。この冊子(全20P、印刷簡易版)は展示会ごとに掲げられているボクネン作品のなかから17点ほどをチョイス。館長の独壇場の解説をくわえるというもの。「だから売れないんだろう」というのは、おおせの通りなのです。
 ここで館長のいいわけめいたグチを少し。ちなみに表紙にいつも掲げてあるマルセル・デュシャンの言葉が「作品を説明したり称賛したりするのに役立つようないかなる言葉といえども、感覚を越えて正気するものの誤った翻訳なのだ」ということなのですが、まさにその通りでございまして正解などない絵画評論で、ぼくができるのはただ作品を目の前にして「誤解の物語」を綴ることなのです。
 みなさんが「そりゃおもしろくないはずだ」と言われるのもごもっともでございます。ただぼくとしては、なんだか弁解じみてきましたが、作品を目の前にして沈黙して引き下がるわけにはいかないのが性分でありまして、それがこの冊子の成り立ちなのです。100人のひとがひとつの作品を観れば100通りの解釈があるというのが、館長の「BangBang」という冊子のいい分なわけです。ぼくとしては「ああっ、こんな解釈もあるんだな」とか「これはつきあっていられねぇ」という言葉が返ってくればこんなに嬉しいことはないのです。
 まぁ、以上のこともありまして今号も自由勝手に言説させていただかせております。興味ある方はギャラリー受付の隅っこに鎮座させてありますのでご覧いただければ嬉しいです。

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    ボクネンズアートオキナワが北谷美浜にアカラギャラリーとしてリニューアルオープン致しました。ボクネン美術館に併設されたボクネンの作品を常設するギャラリーです。

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    「Island Gallery」は、東京の京橋、日本橋、九段下エリアに位置するアートギャラリーです。
    ボクネンの作品を取り扱う他、生活に潤いをもたらせてくれる、アート・写真・音楽・映像・自然音などをプロデュースしていきます。また多目的スペースとして、各種イベントも開催いたします。

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    名嘉睦稔プロデュースの複合型ローカルブランドショップ。赤瓦と漆喰がうねる建物には「Fasion」「Food」「Art」のショップを構え、それぞれ自社で製造、販売するという県内でも類を見ないクリエティブワールド。

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    地元沖縄のアパレルを変える。創業31年の人気沖縄ブランド。ローカルブランドの新たな可能性へ・・・。