ボクネン・インタビュー

⚪きょうは、この秋に開催予定の展示会『紋様の祈り』にちなんで〝紋様″についてお話を聞きます。

これまでボクネン作品の中で描かれた〝紋様″は、まず最初に紋様そのもの、つまりテキスタイルといったような作品、そして次に作品のなかの草や花の自然物が紋様化していくというものでした。

ところが、最近の『樹の娘』(きのこ)シリーズあたりから、人間それも女性に直接〝紋様″が彫られている。それが気になってしょうがないんだけれども…。まず、その理由から。

ボクネン いや、あれは偶発的で潜在的なもの。女性というより〈木の精霊〉のつもりで描いたんだ。もっと作品の奥を彫らなければと思っているうちに、ああなんてしまったんだね。

⚪でも、明らかに女性を意識しているように見えるんだけど…。

ボクネン ああ、それはね。確かに「樹の娘」は女性を描いているが、背後には男もまたいるんだ。

つまり、女や男というより〈木の精〉は人間の形にした方が、見る方も刺激されるはずだし、興味も持つからね。そう、したんだ。まあ、この説明も後づけになるかも知れないけどね。

⚪どうも、ぼくには女性ということが作品のテーマのように見えるんだけどな。

ボクネン あっははは。どうしてもそこに持っていきたいみたいだね。つまり、あの木の精(娘)は自然そのものなんだ。自然(女性)が霊力を身につけたい、まといたい、呪力が宿ってほしいという願いが込められているんだ。それが、ぼくに絵を描かせたんだ。

霊力というのは自然が本来本能的に備わっているものなんだ。そういう感覚から生まれてきた絵なんだね。クロマニヨン人が洞窟に描いた絵にも通ずる霊力なんだとおもうよ。

⚪はぁ、なるほど。

ボクネン 確かに人間はほとんど対人関係に悩みを持っているからね。君の言うように「女性」を中心にしたぼくたちの周辺の悩みを感じてもらっても充分にいいんだよ。ぼくも、そのことをじぶんのなかで感じながら彫っているからね。

おそらく君にもそういうメッセージが届いたんだとおもうよ。ぼくは作品に向かうとき自分自身にもメッセージを届けてるからね。

⚪ああ、そうか。作家が自分の中で自分を考え抜いて彫るから、ひとにも何かが届くのかもしれないな。今日は、どうもお疲れさまです。

(掲載作品『いまだ樹の娘は』2017.6.14)