琉球弧の隣人。

 ぼくが小学校3年生くらいのころ、ある楽しみがあった。それは両親が「沖縄芝居」に連れて行ってくれることだった。「乙姫劇団」の男役を張る「女優」はじゅうぶん色気のある男役を演じていて、とても感情移入した覚えがある。とにもかくにも「沖縄芝居」は、ひとつの少年の憧れだったのだ。

 そして、最近その淡い感情を思い起こしてくれるある小説に出会った。主人公は沖縄芝居の劇団が島に来るのをとても楽しみにしていたというくだりがあり、ぼくの少年時代の「沖縄芝居」に対する気持ちをリアルに思い起こさせてくれたのだ。

 その島というのは「奄美」。そして作家は「奄美のひと」である。一時期から、ぼくにはどうして奄美にこんなにも気持ちが寄せられるのだろうというのがあった。そして、その気持ちをボクネンに聞いてみたら、実際、伊平屋・伊是名のひとは、ほとんど「奄美」のひとと同じような感じで、県外のひととは思えないほど、親しみがあるという。

 これを昆虫の好きなひとに聞いてみると、琉球弧に最初に島ができたのは、まず「沖縄本島」と「奄美大島」ができ、そのあとから「宮古島」「八重山島」できたという。

 だから、沖縄本島と奄美大島の自然や気候が似ているんだね。ガジマルやアカバナーなど植生もまったくおなじばかりか、言葉もかなり近い。これだったら、ぼくたちが奄美のひとに親しみがわかないはずはないよね。(掲載作品『拝歌』<おがみうた」>、2003年)