版画の母。

 今、「向日葵」展を開催中です。館内の向日葵作品には色鮮やかなものから、迫力あふれるものまで多種多様。まさに向日葵の大集合です。

 そんななか、ある作品の前にガラスケースがあり、そのなかに「版木」(絵を彫りつけた印刷板)があります。その作品は『オメデトウのひまわり』(2000年、32.0×25.5cm)です。

 この二つを見ると「版木」から「作品」になるまでのようすがよくわかりますので、興味のある方は観察してみるのもいいですよ。

 さて、今回この「版木」の写真を見てもらったのは、「版木」の味わいもまた面白くて、僕などはいつも興味深く眺めているからです。わかりやすく言えば、実際「版木」は裏方のようなもの。ところがこの裏方がなければ、「作品」も命を吹き込まれることはないのです。まさに「母親」みたいな存在ですね。身を徹してこどもたちを世に送り込むという感じでしょうか。ですから、この「版木」には切なささえ感じてしまいます。

 「版木」は作品が完成すれば、いつも最初に刷られた黒色で塗りたくられ倉庫に置かれたたままです。彫られた部分は板の地肌が彫刻刀によってあらわにされ、生々しく痛そうな感じがしないでもありません。自分の作業(役割)が終わったあとの容姿は、ひっそりと人知れず隠れているといったふうです。

 確かに「版木」は作品ではないかも知れませんが、みるひとによっては「作品」に見える人も少なくないはずです。そういえば彫刻作品としてもも考えられますよね。

 それではここで、下の方に晴れて作品になった『オメデトウのひまわり』を見てもらいましょう。どうです、「版木」という母から生まれた「作品」という子どもに見えませんか。