投稿日時:2017年07月18日(火) 15:05

闇を喰え。

 ボクネン美術館では、版画専門誌『版画藝術』に季刊ごとに、広告を兼ねて画題とは別に「ことば」を添えています。絵と言葉遊びですね。今回は、No.177、秋号になります。ちなみにこれまで、36回を数えています。掲載の作品は『真南風の向日葵畠』(1998年、182.5×368.0㎝)です。

 絵に添えるの「ことば」は「闇を食え。」。どうしてこんな言葉が出てきたのでしょう。実は、浮かんだ本人も相手をうなずかせるほどの説明はできそうにありません。というのは、絵をみたときの「感じ」がそういう風だったのですから、どうにもならないところがあるのです。

 少し無理をして言葉にすれば、真昼に鮮やかな黄色を見せる「向日葵」は、「闇」を喰うほどに、鮮やかな光(色)の世界を謳歌しているように見えたのです。

 考えてみますと、「ひまわり」ほど大輪を咲かせ太陽の光をイメージさせる「花」は他にないとおもうのですが、ところがです。そんな明るい向日葵にも、なぜか「裏」というか「影」を感じてしまうから不思議です。それは、世のあらゆるものがそうなのではないでしょうか。

 世の中には光があれば影があり、生があれば死があり、愛があれば憎があり、喜びがあれば悲しみがありというふうに、その二つの関係が深ければ深いほど、その反発もはっきりしてくるとおもいます。そもそも反語がないと、成り立たないですよね。

 もちろん「ひまわり」も太陽が沈むと、今度は「闇」に「光」が喰われて真昼のエネルギーはほとんどなくなってしまい、うなだれているはずです。そんな「光」と「影」を、とくに鮮烈に感じさせてくれるのが「ひまわり」なのでしょう。

 今、美術館では、『向日葵〜太陽の使者〜』を開催中です。このブログで紹介した『真南風の向日葵畠』も展示しています。ぜひ、近くにお寄り際でも、ご来館ください。

 あなたも自分だけの「ひまわり」を楽しんでみませんか。11月12日(日)まで。