島吹。

ボクネンは今年、画業30周年を迎えました。それと合わせて、この30年のあいだに新聞雑誌などに掲載されたエッセイ、絵本などの文章、インタビューや対談などの収録も数多く残しています。それで『風の島』(ボクネン読本)<仮称>というタイトルで、200ページ程の出版を企画しています。

その編集作業を進めるなか、面白いのが伊是名の方言なんです。先日は、このような言葉がありました。「陸風ちゃー」(アギフチャー)というものですが、いわゆる「陸に吹き上げる南西風」のことで、その響きや雰囲気がとても面白い。英語もウチナーグチも同じで、「…er」をつけて「なになにをするひと」という意味になります。これは普通は行動する人間を意味します。

ところが、この「陸吹ちゃー」(アギフチャー)。「陸が風を吹かす」「陸で風を吹かす」という意味になり、人が行動するはずなんですが、ここでは陸か、或いは何か(神さまでしょうか)を擬人化しているように思えます。他にも「東吹チャー」(アガリフチャー)や「吹チ風ャー」(フチカジャー)などというのもあります。

これは、おそらく伊是名島に今でも古い言い回しが残っているせいでしょう。自然と肌感覚で付き合っているから、使える言葉だと思います。今でも伊是名の人たちは、この「陸吹ちゃー」(アギフチャー)などを使っているのですよ。

さて、先日これと関連して、奄美にも似たような言葉を見つけました。これが「島吹」というものです。どう読むのかは知りませんが、「陸風ちゃー」(アギフチャー)をヒントにすると、「島吹ちゃー」(シマフチャー)ではないかと思います。奄美と伊是名は、琉球弧のなかでも兄弟のように近い島ですから、そう考えても不思議ではありませんよね。

それと、さらに興味深いことを知りました。「島吹」の意味です。擬人化された「島が吹く」「島で吹く」ということで、なんと「島唄」(シマウタ)という意味らしいんです。「島が吹く」「島で吹く」は「島が唄う」「島で唄う」ということになり、「島唄」なんですね。(作品『珊瑚花畑四十四「花扉」』1991、48.5×61.6cm)