「甲斐よしひろさん」が、やってきた!

「やあ、こんにちは」

「あらあら、どうも、どうも」

初対面にしては、まるで旧知の仲のよう。そのわけは、音楽と絵の仕事が共通する何かを感じたからのようでした。

先月5月の25日。梅雨の真っ只中、ボクネンを訪ねてくれたのは、あの甲斐バンドのリーダー、甲斐よしひろさん。某FM局の対談収録のためです。

「ボクネンさんとは初めてなんですが、握手をした途端、何だか不思議に伝わるものが確かにありましたね」

出会い早々、甲斐さんは嬉しそう。やたら波長が合うのは、アーティスト仲間というだけではありませんでした。実は二人は偶然にもニッパチ(昭和28年生まれ)ということで、同時代の匂いや感性も直感しあっていたようなのです。

「まず、最初に『巌臥蒼龍』(がんがそうりゅう)を観てひきこまれ、『地球交響曲』で爆発させられましたよ。いや、すごい迫力ですね」

甲斐さんは、美術館の大広間に架けられた二つの絵を見るや、感嘆の声。

「いや、甲斐さんの音楽の方がすごい。僕はいまでもあのヒット曲の数々が心に残っていますよ。つまり、いまこの瞬間も生きているんですね、あなたの歌は。過去のものではないんです。絵には音楽のようにそういうのが、ありませんからね」

そんな会話から始まって、二人は作り出す仕事について熱い話を続けます。音楽と絵の共通点は、聴く人・観る人に届けることをやった後は、それぞれの人が自分のものとして持って行ってくれるということだと、ふたりは意気投合。

「僕たちは音楽や絵が、ひとと出会う何かの〝きっかけ″をつくって、その人のもにのにしてあげるということが仕事なんですね」

と甲斐さんが言うと、「うん、うん」とボクネンも感慨深げに頷いた。

それから同時代のふたりは、当時の社会世相や風俗にも思いをはせ、時代を語り合いました。対談が始まって50分ほども一回も止まることなく、話は延々と続きに続いたのです。

自分の作った音楽と絵が人になにものかを伝え、誰かのために旅をさせると言うことについて幸せを感じるという二人でした。