30日間の幕を閉じた愛媛展。

この5月7日で、終了した「名嘉睦稔展〜風の伝言を彫る〜」。のべ30日間の開催で、愛媛の方ばかりでなく、会場には遠方北海道からも訪れるファンもいてかなりの熱狂ぶり。80点余に及ぶ作品の展示は、作家の画業30周年の節目を飾る記念すべき展示会にもなった。ライブ制作、開催記念特別対談(×早見和真<小説家>)、子供たち<遊子小24名>とのワークショップなどなど、開催中のイベントも話題になった。NHKの日曜美術館・アートシーンで紹介されたことをご存知の方も多いとおもう。展示は従来の大作を筆頭に、これまでの代表的な作品、そして愛媛の鑑賞者を唸らせた地元をテーマに彫り上げた作品など、話題にこと欠かなかった。まずはご来場のみなさんやご協力をいただいた方々に、お礼申しあげたい。

さて、ここで本展示会が契機になった、気になるご当地作品をひとつを紹介したい。当地作品での目玉は、なんと言っても『伊豫之国愛比売』(いよのくにえひめ、184×183 cm)だろう。この作品のモチーフは、もちろん『古事記』。神話の古里・四国に強いイメージを喚起されたものだ。作家が愛媛の歴史に興味をもち、神話の世界に材を求めたのは興味深い。海、山、太陽、風…それは、故郷の伊是名島とも同じ古代の息吹きを感じたのだろう。それゆえに不思議な感覚を匂わせる作品だ。

ところで、この作品のなりたちだが、二人の神女(乙女)の裏に黒い影(男)、そして背景は「猥雑な森」だ。これは、ボクネンファンならすぐに気づくとおもう。そうだ。ボクネンは、この構図・配置を以前にも何度も作品化している。つまり、愛媛も琉球も同じ神話のカタチをとっているのである。これはとても興味深いことのようにおもう。それに、この作品にイメージをもっと掻き立てると、インドネシアを筆頭とする東南アジアの諸民族文化にも通ずるものではないだろうか。愛媛の神話を紐解けば、東南アジアへの海流に通ずる。と、言えないだろうか?